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遠出の路上ライブ ページ4

軽快に横浜の街を歩く。何時もと変わらない変わるはずも無い道だが、今日に限っては心無しか明るく輝いてみえる。
何故ならこれからIDOLISH7の路上ライブを見に行くからだ。

私はあれから直ぐに彼等の事について調べた。グループ名は「IDOLISH7」最近結成されたばかりのアイドルである。初っ端のライブでは大コケだったもののそれは知名度が低過ぎた事とマネージャーの采配が拙かったことにあると考えられる。メンバーは和泉一織、二階堂大和、和泉三月、四葉環、逢坂壮五、六弥ナギ、七瀬陸の七人である。楽曲は二曲しか出ていないが、どちらもいい曲だ。

公園が近づいて来ると同時にライブの音楽であろう音が聞こえてくる。
駆け出す足に迷いはなく、音源へと向かっていた。

角を曲がると丁度真正面に彼等はいた。
鍔の広い帽子を被ってきて正解だった。もし被って無かったら一発で気づかれた所だっただろう。

彼等は見えないステージの上で踊り、飛び跳ね、歌っていた。今は彼等を照らすポットライトも会場を染め上げるペンライトも無い。だが、彼等はそこに立って歌っているように輝いて見えた。彼等の目にはそれが映っているようだった。

ふと、右手側を見るとマネージャーであろう女の子がCDを机に並べていた。これが終わった後に売る予定なのだろう。
私は先に一枚買おうと傍へと近づく。

「すみません、私に一枚買わせて貰えませんか?」

彼女は作業していた手を止めパッと顔を上げると、キラキラとした目で勿論ですと笑った。
私はお金を払い、差し出してくれた一枚を受け取る。

「凄い、ですね…」
「へっ?」
「未だインディーズなのに物凄い熱量を感じます。」
「はい、彼らは特別ですから!」

そう彼女は言って、その輝かせた目を彼等に向ける。それにしてもつられて私も目を向けた。この曲ももう終盤だ。完全に終わってしまう前に帰らないと引き止められてしまうかもしれない。私は思い切って彼女に伝えたい事を伝えることにした。

「アイドルになる事は兄さんの夢だったんです。だから、何があっても叶えてあげて下さい。そして兄さん達を拾って下さって有難う御座います。小鳥遊事務所のマネージャーさん。」

私はそれだけ云うとクルッと振り返り歩き出す。

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名無し60018号(プロフ) - とても面白かったです!自分すごく続き気になります!これからも応援してます!頑張ってください! (2020年9月22日 8時) (レス) id: 944439b224 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白翼 桜 | 作成日時:2018年5月31日 15時

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