【文スト】【江戸川乱歩】塩対応彼女。【文豪ストレイドッグス】

対応。１９ ページ22

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

『…！ら…！』


……？


『乱歩！何ボーッとしてんの？』

「え、あ…」


ビックリした。

来てなのに気が付かない程考え事をしてたのか。


「な、何でもないよ！もしかして心配してくれた？」

『いやしてないから。気が付いてくれないと私がずっと呼び掛けてる変な人になるから早く気付けって怨念込めてたわ』

「相変わらずだね…」


ま、それがAなんだけど。

なんて事を考えてるとAがのぞき込んできた。


「…何？」

『いや、何時もなら「えー、酷い！」ってテンションが高く返ってくるのにそうじゃなかったから。…熱でもあるの？』

「無いから！名探偵は風邪ひかないの！って、やっぱり心配してる！」

『だからしてないって！』


とか云いつつも若干眉を八の字に下げて、顔には「心配してる」って書いてあるように見える。


「…ふふ」

『どうしたの気持ち悪っ』

「なーんでもない！…にしても」

『ん？』

「今日何時もと雰囲気違うねぇ！」


そう、今日のAは何時もの服装じゃなくておめかししてた。

白い色のフワッとしたワンピースに黒タイツ。

赤と薄い黒のチェックのポンチョ。

そして普段パンプスやヒールが低いブーツを履く彼女とは縁のないであろう茶色のヒールが若干高いブーツ。

髪の毛は編み込みにされていて可愛らしい雪の結晶モチーフのピン留め。


『あー…。昨日三人に弄られまくって…。』

「昨日のアレはこういう事」


多分、服は与謝野さんで髪の毛はナオミちゃんと鏡花ちゃんが主になってやったんだろうな。


『そういう事。…何よジロジロ見て』

「いや、可愛いなーって」


うん、可愛い。天使なんじゃない？って。

…なんか僕、太宰みたいな事云ってるかな。


『あ、はい御世辞は結構です。褒めても何も出ないし出るのは手(拳)だよ』


…ちょっと撤回。

天使だけど塩対応だよやっぱり。

『ほら行こう』と云って先に歩き出すA。

チラッと見ると。＿＿＿＿＿赤い。

耳まで赤いよ、照れてるのバレバレだよ。

やっぱ可愛いな。


「ほら待って！迷子なったらいけないから！」


そう云って僕はAの手を握る。

『迷子になるのは乱歩でしょ』と云いながら手を握り返してくれる君がとても愛おしくて。

なんて幸せなんだろう。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

対応。２０→←対応。１８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す