【鬼滅の刃】報われない女の子の話。【竈門炭治郎】

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『何時来ても人が多い…』

「浅草は楽しい物が沢山あるものね！」


姉さんの「牛すき鍋が食べたい」という一言により、浅草までやって来た。

さっき食べたばっかりでしょうよ、どういう事よ。

その細い身体の何処に入るんですか。


『…あ』


歩いている途中、視界の端に小物屋さんが目に止まった。

レトロな雰囲気の外装。ショーウィンドウには可愛らしい髪飾りや万年筆が飾られている。


『蜜璃姉さん、ここ見たい』

「あら！いいわよ、行きましょ！」


グイグイと私の手を引っ張って姉さんは店に入る。

店の中は、外見と同じ様なレトロな内装。

櫛や手鏡、耳飾りに着物、西洋の服。

たくさんの「可愛い」が存在していた。


「かっ、可愛い…！」

『すご…』


グルッと商品を見る。あまり自分が買わない様な物ばかり。
欲しくない、と言えば嘘になるが。何となく手を出すのは気が引けてしまい買えなかった。

ふと、2つの物に目が止まった。


「A？そろそろ行きましょ？」

『あ』

「どうしたの？欲しい物あった？」

『あ、や。大丈夫』

「本当に〜？」

『本当！先行ってて！』


蜜璃姉さんの背中を押して店から出す。

それを確認して、手に取ったのは手鏡。

桜の模様が彫られていて、綺麗に色まで塗られている。


『あの、これください』


店主らしきお婆さんに声をかけて御会計を済ませる。

「さっきのお姉さんに贈物？いいわねぇ」と微笑まれ、可愛らしく包装してもらった手鏡を受け取る。

店を出ると、「A！」と笑顔で手を振ってくれる姉さん。

姉さんに、先程包装してもらった手鏡を渡す。


『はい。これ、贈物』

「へ？」

『姉さんに似合うと思って。貰って欲しい』

「え、えっ」


ブワッと耳を紅くさせて、プルプルとする姉さん。


『…え、嫌だった？』

「……わ」

『うん？』

「嬉しいわ〜！！！！なんて可愛いの！！！！！ありがとう、大事にするわ！！！！！」

『ｷﾞｬｯ』


ﾑｷﾞｭｳと効果音付く威力で抱き締めてくる姉さん。


『苦しいんだってば！もう！』

「可愛い〜！！！！！」


聞いちゃいないよ、姉さん。

まあでも。



嬉しそうだからいいかなって。

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