【BTS】性別不詳のソロアイドル (ページ30)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:352,405 hit

30. ページ30

『お疲れ様です。今回もすごく素敵でした。』

そう言うと、舞台裏に戻ってきた皆さんが口々に『ありがとう』『でしょ！』等楽しそうに答える。

『あ、ジョングクさ…グギヒョン、自分の名前出さないでくださいよ。』
『えぇ、司会さんが言ってたから俺も言っただけだよ？』
『…それは、そうなんですけど…有名人に名前出されたり褒められたりすると、気が気でないんです。何言われるかわかったもんじゃない。』

はぁ、とついため息が出てしまう。
ジョングクさんを見ると、眉間に皺を寄せ不満そうな顔をしていた。

『…MWさんはすごい人だよ。誰も文句なんて言わない。』
『…そう言ってくださるのは、嬉しいですけど…仮に自分に実力があっても、知名度や人気に差がありすぎます。世間やファンからすれば、なんでコイツが、となってしまうんです。』

ハッキリとそう言ってしまえば、ジョングクさんは何か言いたげに顔を顰めたけれど、何も言わず口を噤んだ。

『…そうだな。確かにMWさんは凄いけど、僕らとは経歴も違うし名が売れ始めたのは最近だ。そういった意見があるのも無理はない。…世間に認められるのが簡単じゃないことは、よく知ってるだろ。』
『っ…ごめん。軽率だった。』

ナムジュンさんがジョングクさんに告げると、彼は申し訳なさそうに頭を下げる。

『あっ、謝らないでください！そんなに名前を出さないで頂ければ良いってだけで…！』
『ヤー、そうもいかないよ。下手をすれば凄い数の批判になっちゃうわけだからね。MWさんの実力なら、そんなに多くもないだろうけど。』

ジョングクさんと肩を組んで『まぁ僕らもかなり人気になったって事だよね！』と窓を拭くソクジンさん。こういう時、彼のおかげで場が和むんだろうなと思った。
それでも、ジョングクさんは依然肩を落としたままで…。

『…そんなに気にし過ぎないでください。ジョングギヒョンは自分を認めてくださったでしょう？』
『…でも…』
『お世辞でも、グギヒョンやみんなが褒めてくださったんです。それだけでとても心強いし、頑張ろうって思える。…MWは、これからもっと有名になりますよ。』

グギヒョンがゆっくり顔を上げる。ニッと笑って『すぐにでも追い抜いちゃうかも』なんて冗談を言えば、彼はクスッと笑った。

『…抜かれないよ。僕も、僕らも頑張るから。MWには負けない。』
『ふふ、その意気です。』

『戻りましょうか』と声を掛けると、テヒョンさんが『疲れたー！』と先頭を歩いていった。