ハンター試験 ページ20
Aがいなくなって二人きりとなったゴンとキルア。窓べりのベンチに座ったまま話をしていた。
「Aともっと話したかったなー」
「……ゴンはさ、Aのことどう思ってる？」
「一緒にいて楽しいよ。キルアは違うの？」
「いや、オレも一緒にいるのは楽しいぜ。だけど、Aはオレらに何か隠してる気がする」
彼女の先ほどの様子には引っかかる点があった。気に留めるほどではないが時折感じる違和感。
「そうかな？ でも、誰にでも隠し事はあるよ」
「そりゃそうだけどさー、何だろ？ もっと大事なことだと思うんだよな。A顔も見せてくれねーもん」
「大事なことなら、いつか話してくれるんじゃないかな」
「……あぁ、そうだな」
坊主らにとってお前さんは邪魔ではないようだぞ＿＿陰から少年達の会話を聞くネテロは思った。
.
二人に寝ると言ったもののまだ眠たくない。意味もなく廊下を歩いていると、真後ろから声が聞こえた。
『っヒソカ…』
「そう邪険にしないでよ。ねぇ、君のこと詳しく教えてよ」
『気持ち悪っ』
｢そんなこと言わないでくれよ」
『じゃあね！』
Aはすぐさま逃げた
.
ヒソカは笑みを浮かべ、Aと反対方向へと歩を進めていた。そのときヒソカの頬を何かが掠めた。向かいの壁に針が刺さっている。
「ヒソカわざとやってるよね」
暗がりから声の主が音もなく現れる。
「針とったんだ」
「話逸らさないでよ」
「Aのことになるとそんな表情するんだ」
これは忠告だ＿＿そう言い残すとイルミは姿を消した。
興奮を抑えきれない表情のヒソカは、頬を伝った自身の血を拭ってペロリと舐めた。
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作者名：あんみつ | 作成日時：2022年7月18日 17時
