・ ページ29
.
「おかーさん。」
「･･････。」
珍しくお酒じゃなくてマグカップを握っているお母さんは、
あの日と同じように窓辺に座っていた
「ごめんね。」
「なんで、あんたが、謝るのよ。」
「あのとき、一人にしてごめんね。」
わたしがボーダーに入ると言ったとき
お母さんの瞳が揺れたことをわたしは知っている
「寂しかったんだよね。」
「寂しくなんか、」
「おかーさん。」
素直になろう。
わたしは寂しかった
あのとき引き止めてほしかった
一緒に住みたいって言ってほしかった
でも、たぶんお母さんも同じ気持ちだったんだと思う
寂しかった
行ってほしくなかった
一緒に住みたいって言ってほしかった
不器用なわたしたちは言葉や暴力の裏側にそれを隠して、
お互いに気づいてもらいたかった
わたしはそのとき気づかなかった
でも、長い時間をかけて気づいたよ
「おかーさん、
わたしはおかーさんのこと恨んだことない。」
「わたしだってないわよ！！
わたしだってAのこと愛してるわよ！！」
「うん、知ってた。」
ほら、素直になればこんなに簡単なんだよ
相手をわかること
わたしはそれをボーダーで教えてもらった
だからわたしもお母さんに教えるよ
「おかーさん、わたし此処に住んでもいい?」
「いいに決まってるじゃない･･･!!」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 149人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぱいなぽー(プロフ) - めちゃくちゃ作者さんの読みやすくて面白いので全シリーズ読んでしまいました！！！！この作品の最後のなんてねっていう部分も考察をしてしまいました！！これからも楽しみにしてます！！素晴らしい作品をありがとうございました！！ (2021年3月6日 3時) (
レス) id: 9956b38531 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名もなきもの
| 作成日時：2021年3月3日 8時
