・ ページ12
「柊木！！
あの資料できてるか！？」
「はい！
あとは印刷だけです！！」
「印刷したらホッチキスで止めて並べとけ！！」
「ラジャー！！」
バタバタと慌ただしくオフィスを走り回る。
結局黒尾さんにお礼をした日から１ヶ月を経ってもこの忙しさは変わらず、
早めにお礼しといてよかったと安心した。
コピー機に資料をセットして20部ずつ刷る。
ガー！と音を立てるコピー機に手をついて回る視界を必死に宥める。
「お嬢さん馬鹿なの？
それともドM？」
いつしか黒尾さんに言われた言葉を思い出した。
あのときは失礼な人だなと思ったけど、
今考えると私は究極のドMなのかもしれない。
「(あ"ー、黒尾さんに会いたい。)」
と、彼女のような考えを急いで振り払う。
あの日から来た連絡は一度だけ。
黒尾さんと赤葦さんとお友だちのような人たち２人、
合計4人でパーティーをしているような写真と、
『とても美味しかったです。
ありがとう。』
というシンプルな文面だった。
そこから連絡はない。
そして私は気づいてしまった。
私と黒尾さんの関係は名前なんてない曖昧なもの。
助けてもらって、
お礼をするために連絡先を交換した。
だからお礼をするともうそこで私たちを繋ぐものは終わり、ということ。
それでも連絡を待つ私は女々しくて面倒くさい女だ。
出てきた紙をまとめて持って自分のデスクに戻った。
今日はミーティングをすれば終わり。
ものすごく久しぶりの定時上がりなので家でゆっくりお風呂にでも浸かろう、と気分を上げてホッチキスを手に取った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Shuka(プロフ) - また次回作も楽しみにしています！ (2021年1月18日 7時) (
レス) id: e262deccef (このIDを非表示/違反報告)
Shuka(プロフ) - こんにちは。内容、文章の作り方、クロの話し方、主人公の気持ちの書き方等見ていて全て好みでこんなに作品にのめり込める短編は無いなと思うくらいでした。普段長編の方が好きで短編は全く読まないし推しは研磨ですが何故か惹かれ呼んだら素敵な作者様に出会えました。 (2021年1月18日 7時) (レス) id: e262deccef (このIDを非表示/違反報告)
蜂蜜色(プロフ) - 面白そうです。頑張ってください！ (2021年1月17日 9時) (レス) id: de5cad5b88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名も無き者
| 作成日時：2021年1月17日 8時
