ずっと傍にいてよ【 赤 羽 業 】

Once upon a time ページ44

「俺はね、A」


ぎゅ、と目を閉じて俺の言葉の続きを待つ彼女。

俺が十年間、ずっと片想いをしてる人だ。
十年間、ずっと好きなのに、いつだって好きなのは俺ばっかりだ。
Aは俺を見ようともしない。

どうして俺を好きだって、言ってくれないの？

俺はこんなに、君だけを好きなのに？


「Aが、好きだよ」


そう言ってまたキスをすれば、固く閉じられていた目が驚きに見開く。
その瞳には、俺だけが映る。

そうだよ、そうやって、瞳に俺だけを映していればいいのに。


「どうしてキスしたか、まだ分からないの？」

『それは、カルマくんが…』

「俺は十年我慢したよ、このキス一つにね」


そう言いながら、Aの唇をなぞる。

そうだ、十年。
とても長かった、俺には、長すぎたんだ。

俺はもう十分我慢した。
だからもう我慢なんてしないよ、したくない。

だって君を、手に入れたくて堪らない。


「俺を安心させてよ」


いつ誰に盗られてしまうか分からない、深すぎる恐怖と不安から救って。


『だけどカルマくんには、いっぱい女の子が…』

「例え100人の女が俺のこと好きでも、Aが俺を好きじゃなきゃ意味がないんだよ」

『だけど、私よりかわいい子なんて…』

「うるさい」


文句ばかり連ねる口を、自らのそれで塞ぐ。
十年間、ずっと焦がれていた感覚。
知りたくて堪らなかった感覚。

俺はAが、Aだけが好きだ。

たぶん、これからもずっと。


だからお願い、約束してよ。

君もずっと、俺のことを好きでいるって。


「何か言いたいことは？」

『な、ないです』

「Aの好きな人は？」

『カル、マくん』

「Aの彼氏は？」

『カルマくん』

「よくできました」


優しく頭を撫でれば、安心したように頬を緩めてくれた。


「でも言ったよね、俺は十年我慢した」

『え、っと』

「もう、我慢はしない」


さっきまでのかわいいキスは忘却し、深く激しく口付ける。
短いスカートから露出された太股をそっとなぞりあげながら、じわじわと脳内を犯していく。


「大好き」


大きな愛が熱を帯びて、それはもう誰にも止められない、自分自身さえも。









.









いっそ君を閉じ込めて

その瞳に俺しか映らなければいいのに

そうすれば他の男も

世界も忘れて

君には俺だけになるでしょう？

俺の我儘だから→←Once upon a time

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す