ずっと傍にいてよ【 赤 羽 業 】

It is love ページ24

この気持ちは、なに？
明日の朝が早く来てほしくて堪らない。

この気持ちは、なに？
特徴的な赤い髪を見つけると、胸が踊るの。

この気持ちは、なに？
貴方と話せるこの時間が、何より大切なの。

この気持ちは、なに？
嬉しいのに、どうしようもなく胸が痛むの。


きっと、本当は気付いてる。

喉が痛む理由も。
ぜんぶ、自分が一番知っているのに。

認めるのが怖いだけ。
だって私は、恋をしたら声を失う。


『あ、カルマくんおはよ』

「おはよ。どうしたの、マスクして」

『ちょっと風邪気味で』

「そっか、お大事に」


枯れたような声。
あぁ、私声を失いかけてるんだ。

必死で自分に言い聞かせるの。

好きになっては、ダメ。

恋をしては、ダメ。


だけどね、どうしても、好きにならずにはいられないの。
優しい微笑みに、柔らかい声に、不意に見せるあどけなさに、大人びた表情に、ふとした会話に垣間見る博識さに。

ねぇ、どうして？

どうして恋をしてしまったの？

それが身の破滅だと、知っていながら。


「ほんと、なんか元気なさそ」


“大丈夫？”って、頭を撫でられる。
珍しく二人並んで座れたのが、仇になった。

あぁ、かっこいいなぁ。

本当、なんて罪な人なんだろう。

会えるのは朝のほんの数十分。

だけどこんなにも、貴方に溺れてしまった。


『大丈夫、でも移るからあんまり近寄らないで』


なんて、嘘。
風邪でも何でもないのに。

だけど近寄らないで、は本当だよ。

だってもっと、好きになっちゃう。


お願い、助けて。
日に日に痛んでいく喉。
日を重ねるごとに募る想い。
想いを伝えられない辛さ。

解放して、こんな生きた地獄から。


「俺意外と体強いから、安心して」


ふわりと微笑んだ彼が、また私の身を焦がす。

いっそこの忌々しい呪いごと焼け焦げて、後に何も残らなければいい。
そうすれば辛くもないし、痛くもない。

だけどそれを心のどこかで否定する。
カルマくんと会えるこのほんの少しの時間を恋しく思う自分がいる。


私はなんて、欲張りなんだろう。









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Two＿It is love
(それは誤魔化す術もなく。)

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