一万やるから、ハグさせて【五条悟】

８.お菓子くれるイコール恋の始まり、なのかな ページ8

*






ぐぅぅ…




鳴ったお腹を撫でながら、一人でため息をついた。



仕方がない。食費を切り詰めれば早く借金が返せる。


前はこんなに切り詰めてなかったけど





先生に同情されてお金貰うくらいなら、早く借金を返済した方がいい。







A「…飴あったかな。」





五条「えー、今チョコしか持ってないや。」







ばっと振り返った瞬間、口に何かを突っ込まれる。




A「！？」




五条「やっほ、A。美味しい？それお勧めなんだよねー。」



A「……おいしい、です。」





もぐもぐと口を動かせば、目の前の人は満足そうに笑った。



いきなり口に食べ物を入れられたのに、怒りは沸いてこなかった。




おいしいから、だと思う。






持っている入れ物の紙がつやつやしている。きっといいとこのチョコだ。




なんてすぐに考えてしまう自分が少し嫌になる。





A「…ありがとうございました。おいしかったです。」



五条「気に入ったんなら、残りもあげるよ。」



A「え、そんな！申し訳ない、です。」



五条「えー。あ、じゃあ出張のお土産！

ほら、お土産受け取ってもらえないとか、先生悲しい。」




くすん、なんてわざとらしく泣きまねをする。



その様子がおかしくて、自然と笑みがこぼれた。





全部わかってて、先生はこんなことしてくれているんだろうか。





A「ふふ、じゃあ…ありがたく頂きます。」



五条「はい、どーぞ。」



A「わ、」




渡されたお土産の紙袋は思ったより重くて



あれ？と思って、先生を見上げると





もうそこには先生はいなかった。





先生は瞬間移動も出来るんだっけ…




中を見ると、見たことのない地方の食べ物がいろいろと入っていた。







気付かれていたのかもしれない。






気付いてくれたのかもしれない。








この胸のあたりがふわふわするのは



恥ずかしさなのか、



嬉しさなのか







まだ、よくわからない







*

９.感覚は記憶として残りやすい→←７.なんだかんだ恋バナが盛り上がる(相手が居ればね、相手が)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す