気分屋さん日和。【木全翔也】

10話 ページ10

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木全先輩の違和感に気づいたのは
隣にいる先輩も同じなようで。





男子「え、ごめん怒った？」

木全「へ？」





謝罪された瞬間、目をぱちくり。


顔が小さいからかその表情だと目が大きく見える。




男子「なんか今きまちゃん不機嫌だったよね！ねぇ？」

「なんとなく、まぁ……」

木全「えー？ぼくそんな気性荒くないよ」

男子「きまちゃん食べてるときと無表情のギャップあるからなぁ」

木全「それはよく言われます」

「あ、先輩。これ…この前のお礼の」






コンビニのビニール袋を差し出すと
木全先輩は不思議そうに「なになに？」と寄ってくる。


中身を確認するとパッと顔を上げて笑った。



…ほんとだ。すごいギャップ。





木全「バナナチョコグミ！」

男子「きまちゃんにあげるやつだったの〜?!
絶対それ美味しくないって！」

木全「食べてみないとわからないじゃないですかぁ！」

「チョコバナナではなくてバナナチョコなんですか？」

木全「そこ咲間さんも気になったよね!!」





木全先輩は今すぐ開けたいようで、

だけど紙パックをどうしたらいいかわからず
そわそわし始めた。


「持ってますよ」と紙パックをもらえば
「ありがとぉ」とにっこり。




食べ物絡むとほわほわするなぁこの人。







グミの袋を開けて一口。


嬉しそうにモグモグしていた顔が
だんだん眉を寄せて渋くなっていく。






男子「不味いっしょ」

木全「美味しいけど…不思議な味がする…」

「不思議な味とは…」

木全「食べてみます？」




はい、と木全先輩がグミを一つ掴んで
私の口元の前に見せる。


…これはこのまま食べるってこと？


なんか餌付けされてるみたいだな…。




ちょっと微妙な気分だったけど
断るのも失礼かなと思い、そのまま戴く。



「……微妙」

木全「美味しいっちゃ美味しいよね」

「……」

木全「咲間さん？」





お世辞にも『美味しい』とは言えず
コメントに迷ってしまう。



そんな私達のやり取りを見ていた
隣の先輩が「なんかさぁ」と口を開いた。







男子「最初から思ってたけど、
二人って雰囲気似てんね」

「え」

木全「そう？」

男子「うん。なんか不思議の森の住人って感じ」

「……褒め言葉？」

木全「おぉ、じゃぁ俺は森の番人・ショーヤキマタで！」

「ついていけないです」

男子「あれ？気のせい？」









森の番人・ショーヤキマタ先輩は


マッチョのポーズを取ってキメ顔をしていた。





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