10count*his.story ページ10
.
無理矢理自主練を中断し、
景瑚くんを押しやりながら
Aさんの隣にどっかりと座る。
汗だくで申し訳ないけど、
今はここを譲るわけにはいかない。
景瑚くんはニヤニヤ笑いながら
翔也くんと別の場所に移動しに行った。
……あの人絶対俺で遊んでる。
「お水、飲まないんですか?」
豆原「ん?あー…飲みますよ」
「持ってきましょうか?」
豆原「あとで飲むから平気」
「でも私は…」
立ち上がろうとする彼女の手を引く。
驚いて振り返るAさんに
努めて優しく笑ってみせた。
…自主練でバテそうになってるなんて、
かっこつかないし。
豆原「Aさんの隣で休憩してたいの。
ここにいてください」
「〜っ!りょ、りょーかいっ」
Aさんはおとなしく腰を下ろす。
さっきまで体育座りなのに
正座になってるのがなんとも言えない。
小動物みたいだ。
マグカップとかに入ってそう。
俺はできるだけ息を整えてから
「ダンスどうでした?」と聞いてみた。
するとものすごいスピードでこちらを振り返り、
目をカッと見開く。
「すッッッごかったです!!!
mvとかって通しでやらないけど、あっ、
もちろん普段もカッコイイですよ?!
でももうこの生の迫力は本当に凄いです!!!
私、めちゃくちゃ興奮してました!!!」
本人いわく音楽関係はドがつく音痴らしいけど、
彼女なりに精一杯魅力を伝えようとしてくれている。
それだけで、呼んでよかったなと思った。
年上でしっかりしてるのに、
なんというか……隙だらけ。
必死に語る様子を見守っていると、
我に帰ったのか顔を真っ赤にして小さくなっていく。
「ごめんなさい…喋りすぎた…」
豆原「なんで?嬉しかったですよ」
「ほんとに?」
豆原「うん。Aさんに来てもらえてよかった」
それは何よりも本心。
彼女のこの曇りない表情を見ると
俄然やる気が湧いてくるし、心が満たされる。
Aさんは少し照れ臭そうに笑うと、
「呼んでもらえて良かったです」とはにかんだ。
………この顔はほんとうに誰にも見せたくない。
「あっ、お水!そろそろ飲みましょう!」
豆原「えーAさん離れないでよ」
「えっ?!う、ぐぬ、ほ、匍匐前進で取りに行きますっ」
豆原「なんで?」
「私の面積が広がりそうだから?」
豆原「あなたしっかりしてるのに
なんでたまに馬鹿になるの?」
「……」
1142人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Shiu(プロフ) - みづきさん» 初めまして!とても温かいコメントありがとうございます!他の作品も読んでいただけて、本当に幸せです…(T_T)大好きと言ってもらえてとても励みになります!ありがとうございました(*´∀`*) (2021年8月29日 0時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - 初めまして!すごくすごく大好きな作品でした!作者様の他の作品も大好きです! (2021年8月28日 23時) (レス) id: d3251df0ae (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - みぺさん» またまたコメントありがとうございます!最後まで楽しんでもらえるよう頑張りますね!! (2021年8月24日 13時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
みぺ - 豆ちゃん(涙)戻ってきてくれて嬉しいさときゅんで最高です! (2021年8月24日 2時) (レス) id: 5ff78606fb (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - みぺさん» コメントありがとうございます!!!きゅんきゅんしてもらえて嬉しいです(*´∀`)これからもきゅんしてもらえるよう頑張って更新して参ります! (2021年8月17日 14時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Shiu | 作成日時:2021年7月8日 14時