15count*his.story ページ15
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川尻「まめ、Aとなんかあったん?」
練習終わり。
いつもよりテンポを掴めなくて苦戦してしまい、
俺は居残り練習することにした。
みんなが帰るのを見送ってから
さぁ始めるぞ、というときに蓮くんが
そんなことを聞いてくる。
豆原「なんかって…」
川尻「だって今日、調子おかしかったよ?」
豆原「…すんません」
川尻「責めてないよ〜!どうしんかなって」
豆原「……」
困る、とはっきり言われてしまった。
そんな迷惑だと思ってたなら
あんな顔すんなって思うけど。
でも、俺がやったことは少し度が過ぎてる気がするし
言えるわけがない。
何も言わない俺に蓮くんは「うーんとさ」と
何か迷うように唸る。
川尻「厳しいこと言うね」
豆原「?」
川尻「…まめがAのことを
どう思ってるか、ちゃんとはわからんけん。
けど、仕事に支障が出るならAは
俺達のマネージャーを続けることはできんよ」
豆原「…!」
川尻「わかるよね?仕事なんよ」
豆原「……っ」
言いにくそうにしながらも、
言葉を選びながらハッキリと伝えてくれる蓮くん。
それは、Aさんにも言われたようなことで。
何も返せないでいると蓮くんが
「わかってくれるならいいからさ」と
フォローしてくれる。
豆原「…すいません。ちゃんと、切り替えます」
川尻「うん!まめならできると思っとる」
残り練習詰め込みすぎんようにね、と
肩を叩いてくれた蓮くんが部屋を出ていった。
一人になり、曲を流すこともできず
鏡の自分を睨んでしまう。
……俺がぶつけた気持ちは完全に私情だった。
あの人が俺達の傍にいてくれるのは『仕事』なのに。
もっとほしい、なんて、我儘がすぎる。
そりゃ困るなんて当たり前なのに、
俺はそれにすら納得することができなかった。
ただ少し、俺に会いづらくなるのを
「寂しい」って思ってくれればとか、
そんなことだけ考えて。
豆原「〜っくそ」
甘えすぎた。
Aさんに。
いつも満たしてくれるあの人に。
豆原「何やってんだよ俺…」
一人きりの部屋に自分の声だけが響く。
誰かからLINEが来た音がしたけど、
そんなことを気にする余裕が俺にはなかった。
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Shiu(プロフ) - みづきさん» 初めまして!とても温かいコメントありがとうございます!他の作品も読んでいただけて、本当に幸せです…(T_T)大好きと言ってもらえてとても励みになります!ありがとうございました(*´∀`*) (2021年8月29日 0時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - 初めまして!すごくすごく大好きな作品でした!作者様の他の作品も大好きです! (2021年8月28日 23時) (レス) id: d3251df0ae (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - みぺさん» またまたコメントありがとうございます!最後まで楽しんでもらえるよう頑張りますね!! (2021年8月24日 13時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
みぺ - 豆ちゃん(涙)戻ってきてくれて嬉しいさときゅんで最高です! (2021年8月24日 2時) (レス) id: 5ff78606fb (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - みぺさん» コメントありがとうございます!!!きゅんきゅんしてもらえて嬉しいです(*´∀`)これからもきゅんしてもらえるよう頑張って更新して参ります! (2021年8月17日 14時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiu | 作成日時:2021年7月8日 14時