鶴の照れ隠し。【鶴房汐恩】

《４》 ページ4

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つまらない授業を寝て、
汐恩たちと喋って、
たまに怒られて、

そんなふうに過ごしていれば
あっという間に放課後。



帰宅部の翔也と別れて
私と汐恩はレッスン室へ向かう。




「付き合ってる子とはどんな感じなの？」

鶴房「あー、可愛いと思ってたけど
連絡多すぎてちょっとめんどいな」

「うわー引くわー。
そんなのもう誰とも付き合えないじゃん」

鶴房「俺スタ爆されるの嫌やねん」

「まぁそれはわからなくもないけども」





なんて話をしていると、
不意に 汐恩くん！ と可愛らしい声。


振り返ればこれまた可愛い女の子が。



確か他クラスのテニス部の子だっけ。


一切私の方に見向きもしないあたり
汐恩しか見えていないようで。




…どうしてそんなにこの男がいいのかなぁ。





鶴房「ん？どうしたん」

女子「あの、…今日一緒に帰りたいなって」

鶴房「あー…。俺練習あるから遅なるで」

女子「わっ私も部活あるし！
待っててもいいかな…？」




遠慮がちに聞く女の子を
汐恩はフッと笑ってぽんぽんと頭をなでた。

うわっ、あいつやってんな。




鶴房「当たり前やろ」

女子「よっ、よかったぁ…」





なんだあいつ。


面倒とか言っておいて
普通にいちゃこらしやがって。



完全に私はお邪魔虫なので
さっさと退散することにする。




くっそー。

汐恩もよく「思ってたんと違う」って
振られるって言ってたから
うまく行かない仲間と思ってたのに。


裏切り者め。







レッスン室の手前まで行くと、
前に見覚えのある人物を見つけた。


勢いつけて肩を叩くと
めちゃくちゃびっくりしたあとに
冷ややかな目で睨まれる。





「おっす！」

大平「…ほんま遠慮知らんな」




同じダンス部員の祥生は
ハァーとはっきりため息を吐く。


出会ってすぐの頃はモジモジしていて
可愛い天使みたいな子だったのに。




大平「汐恩は？どうしたん」

「彼女とイチャイチャしてたから置いてきた」

大平「また彼女できたんあいつ」

「そうなんだよー。もう汐恩はハブろうぜ。
私達は仲良くしていこうね」

大平「いやそれはほんまに勘弁してほしい」

「なんで！？」

大平「うっさ…」





部室の前で立ち話していれば
後ろから汐恩が走ってきた。


「なんで置いていくんだよ」と
睨まれたので「うるさい裏切り者」って
吐き捨ててやる。






鶴房「嫉妬すんなって」

「してねーわ」

大平「女子更衣室あっちやろ。はよ行きぃや」

「冷たい…」

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