鶴の照れ隠し。【鶴房汐恩】

《１７》 ページ17

.






結子「それっ、本当なの？！」





朝練の時間。



昨日の夜の出来事を祥生と一緒に
結子先輩と顧問の先生に報告中。


お前はどうせヘラヘラするから、と
説明してくれたのは全部祥生だったけど、

話を聞いた結子先輩が私の肩をがしっと掴んだ。




結子「大丈夫だった？！何もされてない？」

「ま、まぁ！祥生来てくれましたしね！」

先生「2年の須戸岡か…わかった。
会議でも報告するけど、いいか？」

「問題なっしんぐです！」

大平「……」

結子「A、そんな無理して振る舞わなくていいから」

「無理なんかしてないですよ！
まぁ、き、昨日は予想外だったからびっくりしたけど、
もう気にしてませんし！」





じぃ、と結子先輩に見つめられる。



正直に言うとめちゃくちゃ怖い。

中学の頃にも似たようなことがあったけど、
あんなに怒鳴られたのは初めてだった。


何か嫌がらせされるんじゃないか、とか
みんなに迷惑かけるんじゃないか、とか

たくさん考えてしまう。



けどそんな私は私らしくない。

余計な心配もかけたくない。






ふいに結子先輩が何か思いついたかのように
くりくりしたお目めを大きく見開くと、

今度は祥生の肩を勢い良く掴んだ。


結子「ねぇ祥生！」

大平「はい？」

結子「須戸岡が諦めるまで、彼氏のフリしてくれない？」

「先輩？何言って、」

結子「だってまたAを一人にしたら危ないじゃない。変な逆恨みとかしそうだし…！」

大平「そう、ですね…けど、」




ちらりと祥生と目線がぶつかる。

どこか気まずそう。そりゃそうだ。


祥生からしたら罰ゲームのそれだよ。




大平「…汐恩に恨まれそうっす」

「うん？汐恩？」

結子「私からちゃんと説明するから！
そりゃアイツのほうがいいかもだけど！」



最寄りが一緒だからとかそういう話かな？


なぜここで汐恩の名前が出てきたのか分からないけど、
元々「偽彼氏を作る」の流れについて行けてなかった。



晴れて私は偽彼氏・祥生くんとお付き合いすることになる。






「えっと…とりあえず手繋いどく？」

大平「そのノリ汐恩の前で絶対やるなよ」

「汐恩って私のパパでした？？？」






付き合ったからと言って、
祥生の対応は相変わらず塩素100%冷凍保存レベル。


まぁ変に扱い変えられても慣れてないから
こっちのほうがいいんだけどね。







「あ！呼び方ダーリンの方がいいかな？」

大平「は？」

「さぁせん」





.

《１８》→←《１６》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す