鶴の照れ隠し。【鶴房汐恩】

《１１》 ページ11

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そういうわけで、
私は汐恩と一緒に帰ることに。


中学の時からしょっちゅう帰ってたので
別に何か気になることがあるわけじゃないけど。



強いて言うなら二人並んでるのを
誰かに見られて彼女に報告して…みたいな
パターンが申し訳ないし、面倒くさい。


まぁ暗くて誰もわからないか。




マネージャーの仕事を終え、
「校門で待ってるわ」と言い残したアイツを
探してみるけど姿がない。



え？ここに来てドタキャン？

別にいいけど、明日翔也に愚痴ってやる。




そんなふうに毒づいていたとき。





？「ねえ」

「んびゃぁぁｯｯ？！」



誰もいないと気を抜いていたところに
突然背後から、それも肩に触れるくらいの
距離から声をかけられた。


逃げる体制に入りながら振り返ると、
そこには数日前にも校門でお見かけした人物。





「あ…須戸岡、さん…」

須戸岡「部活お疲れ様」




にこりともせず、淡々と労りの言葉を告げられ、
反応で「ありがとうございます…」とお礼を返す。


須戸岡さんはそれ以上何か話すことはなく、
けれどジッと私を見下ろしたまま動かない。



これはまずいかもしれない。




「あ、あは、じゃぁ私これでっ」

須戸岡「待って。一人で帰るの？」



咄嗟に背を向けたのに腕を取られる。

その握り方が絶妙に力が入ってなくて、
でも振り解こうとしたら力を入れられて気持ち悪い。



「きょ、今日はっ一人で帰りたくて！」

須戸岡「危ないよ。変な人が成宮さんを狙ってるかも」

「え〜？あは、あり得ないっすよ〜！
えと…腕、離してもらえます…？」

須戸岡「駅まで送らせてほしい。
俺、成宮さんともっと話したいんだ」



会話のキャッチボールって知ってます〜？
と言いたくなったが、

ここで変に刺激しては良くないと
私の経験談が諭してくる。


かと言ってこのまま黙ったままというわけにも…








鶴房「何してん？お二人」

「汐恩！」

須戸岡「……」




救世主だ。


いや、そもそもこいつがちゃんと校門で
待っててくれたら回避できたかもしれないけど。



隙を見て腕を払い、汐恩の方へ駆け寄った。





「そ、そう！こいつのこと待ってたんです〜！」

須戸岡「……」






無言が怖いよぉ…



これ以上見てるのも恐ろしいので
さっさと背を向けて歩き出しながら
汐恩を引っ張った。









だいぶ歩いてから後ろを確認してみると


須戸岡さんはまだ校門の前にいて、
じっとこちらを見続けていた。





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