16話 ページ16
.
休日お昼前。
賑やかな駅の前でボーッと立っていると
「Aさん」と声をかけられた。
振り返ると、サングラスにおしゃれな帽子の
佐藤さんの姿が。
「おぉ…」
「お待たせしました。…どうしました？」
「いや、うん。やっぱオーラが凄いですね…」
「オーラ？」
「芸能人オーラというか、キラキラしてるというか」
「ははっ、何言ってるんすか」
じゃ、行きましょ
そう行って佐藤さんは歩き出す。
…背中からもオーラが溢れてるや。
ぽんぽんと話題を投げかけてくれる佐藤さんは
静かめというより明るい人で、
時々くだけた喋り方になるのが印象的だった。
特に拓実の話になると嬉しそうに笑う。
「へぇー、拓実ってそんな感じなんですか？」
「そうですよ！昔はもっと無邪気で可愛かったのに、あんなキリッとしたお兄さんになっちゃって…」
「そうなんだ。
俺らといるときは可愛い感じだけどなぁ」
「えっ？！どっちが本物なんだ…？」
「かっこつけたいんじゃないんですか〜？」
「えー？そういうものなんですかね…」
「男はそういうもんですよ」
そんなふうに会話を弾ませながら
到着したのはまるで隠れ家のような珈琲屋さん。
建物と建物の間の細い場所に扉があり、
佐藤さんが開けるとカランコロンという
昔ながらの可愛い音がする。
入るとすぐに珈琲の匂いに包まれた。
「大人の匂いがする！」
「ははっ、なんすかそれ」
「珈琲豆って大人の匂いしません？」
「それ拓実も言ってましたよ」
「え？」
「拓実ともここに来たことあるんです」
案内されたのはカウンター席。
渋めのマスターの後ろには本棚のような棚があり、
本ではなく珈琲豆やカップなどが飾られていた。
うーんお洒落。
「拓実がAさんのこと
この店に連れてきたそうだったので、
先に連れてきちゃいました」
「なんですかそれ」
「かっこつける拓実もいいけど、
焦ってる拓実も見たいでしょう？」
「…どうだろ」
「ていうかよく今日来てくれましたね」
「いやあんな堂々とお誘い受けたら
断りにくいじゃないですか」
「断りたかったんですか？」
「あ"っ、いやっ全然！すいません
今めちゃくちゃ失礼なことをｯ」
慌てて頭を下げながら何度も謝ると、
「んははっ」とおかしそうに笑う声がする。
「あーAさんって面白いですねぇ」
「え？」
「ますます興味出てきました」
「ええ…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 750人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Shiu(プロフ) - 緑さん» いつも読んでくださり、そしてコメントありがとうございます！そう言ってもらえてとても励みになります…(T_T)このお話も最後まで頑張って書いていきますので、ぜひ見届けてもらえたら嬉しいです(*´∀｀*)次回作ももちろん全力で頑張ります！ (2021年6月9日 23時) (
レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - nanakoさん» コメントありがとうございます！ぜひこのお話のラストも見届けていただけたら嬉しいです(*´∀｀*) (2021年6月9日 23時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
緑(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！学園もの全然アリやとおもいます！アリっていうかもはや読みたいです（笑）完結と新作楽しみにしてます！！ (2021年6月8日 23時) (レス) id: 70fd815c99 (このIDを非表示/違反報告)
nanako(プロフ) - 好きなお話でした。楽しかったです。鶴房くんのやめたら嬉しいです。 (2021年6月8日 21時) (レス) id: 739857a84a (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ちいたんさん» ひゃーー！ありがとうございます！！めちゃくちゃがんばります(*´∀｀*) (2021年6月7日 12時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Shiu
| 作成日時：2021年4月12日 22時
