8話 ページ8
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遠くで暗号機が完了した音が耳に届いた。
残りはあと、1台と半分くらいか。
「 はぁ…、くそ…こんなところでへばってる場合じゃねぇのに… 」
霞む視界、見上げた空に雪がいくつも入り込む。
汚い息は白く染まるが寒さは全く感じない。
ハンターは道化師。
奴のロケットのパーツに回復遅延がかかる物が
入っていたのだろう、自己回復が一向に進んでいる
気がしない。
捕まっていたトレイシーの壁になろうとした結果、
このザマだ。
俺が倒れたあと、かなり粘ってくれたが
二度目の拘束を食らってしまっている。
それをAが救助しようとしているらしい。
早く立ち上がって、解読に戻らねぇと。
「 〜ｯ、は、ハッ… 」
無理矢理立ち上がろうとしたが、
足に力が入らない。
傷には慣れているのに、慣れすぎてしまった体は
回復をすることを忘れてしまったのだろうか。
「 ナワーブ 」
不意に、聞き覚えのある声がした。
視線だけそちらの方に見やると、
キャラメル色の髪の毛。
「 A……ッ…？ 」
「 治療しよう 」
「 …っ、……と、トレイシーは…？ 」
「 彼女の判断で見捨てになった 」
「 ……は？ 」
いつもみたいにへにゃへにゃ笑う様子もなく
淡々と俺のそばにしゃがみこむと、
注射器のようなものを取り出した。
ダイアー先生と似たような形状だが、
中の色が深い緑の色をしている。
「 トレイシーが、残りの暗号機を
めいいっぱいロボットで進めてくれた。
三人で通電させて、三人逃げを狙うことになった 」
「………」
「 少し痛むよ 」
注射器の先端が腕に刺さる。
Aは慣れた手つきで中身を押し出すと、
やがてガーゼを取り出し傷口を簡単に止めてくれた。
痛む、と言われたが特に感じない。
どころか、先程まで失血しかけていたのに
怪我の痛みが全く無くなった。
「 …すげえな 」
「 ……ただの痛み止めだよ。
時間経過で痛みは帰ってくる 」
「 どれくらい？ 」
「 このゲームでは1分。
効果が切れると痛みが倍になる感覚が… 」
「 そうか。さんきゅ 」
いつものように頭に手を置いて
ふわふわとした髪を撫でてやると、
どこか気恥ずかしそうにAは視線を逸した。
暗号機が1台、完了する音が響く。
……残り1台。
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Shiu(プロフ) - フルグラ、リ傭・オフェ傭推しさん» コメントありがとうこざいます！甘くするぞ！という目標で書き始めたのにすでに甘くない…！どんな終わりになるのか自分でも想像つきませんが、楽しんでいただけるようがんばります！ (2020年9月30日 21時) (
レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
フルグラ、リ傭・オフェ傭推し - わーい！ナワーブくんだっ。更新頑張って下さい(´▽｀) (2020年9月30日 19時) (レス) id: d8c098f262 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Shiu
| 作成日時：2020年9月27日 3時
