キツネへ嫁入りしませんか。【川尻蓮】

10話 ページ10

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ダンスサークル3日目。


最初は誰が先輩で誰が同級生か分からなかったけど
だいぶ顔と名前が一致するようになった。



それで気づいたことが
新入生のほとんどが男子だったということ。


逆に2年生は女子が多く、
3年4年生はほぼ1:1くらいの比率。




つまり、全体的にはほぼ半々。





有川「なぁ川西さんダンス初心者ってほんま？」

「ん？そうだよ」





練習終わりに部屋の隅で今日の復習をしていると
同じ学年の有川くんが声をかけてくれた。



明るい茶髪に派手なピアス。

The男子大学生って感じ。





有川「めっちゃスタイル良いし飲み込み早いから
絶対経験者やと思ってた」

「あははありがとう〜」

有川「良かったら仲良ぅしてくれへん？
ミツルって言うんやけど『みっちゃん』でええから」

「もちろんだよ〜！よろしくみっちゃん！」





派手な見た目の割に
丁寧なコミュニケーションを取ってくれる人だ。


みっちゃんは少し微笑んで、「あとさ」と続ける。





有川「今日の新歓来る？」

「あー私前に参加させてもらったから
今日は残って練習しようかなって…」

有川「えぇ、Aちゃん来てくれへんの？」

「えっと、来てほしいの？」





物腰柔らか…と思ったけど意外と強引だ。


私の質問にウンと笑って頷く。



……飲み会って意外と高いんだよな。





どうしようか悩んでいると、

不意に後ろから「どうしたん？」と誰かが声をかけてきた。




振り返ると、まだ練習の格好のままの蓮くん。







有川「今日の新歓にAちゃん来てほしいなって」

川尻「あーそうなん？Aちゃん行くと？」

「あー…行きたい気持ちは山々なんです、けど」

有川「え？来ないの？」





ずいっと迫ってくるみっちゃん。




…なんか、断ると面倒くさい気がする。


新歓も別に2次会に行かなければ
終電までには帰ってこれるし、行こうかな。








腹をくくって、笑顔作って、顔を上げた瞬間


私が口を開くより先に蓮くんが「あ！」と
何かを思い出したように目を見開いた。







川尻「Aちゃん今日弟くん誕生日やったよね！」

「えっ」

有川「え、そうだったん？」

川尻「もう駅前のデパートお店閉まるけん、
プレゼント選びに行かなくて大丈夫と？」

「誕生日…？」

川尻「もー練習に熱中しすぎやって！
頑張るんは良いことやけど、無理は駄目よ」









ね！と微笑む蓮くん。






……これはもしかして。









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