18話 ページ18
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帰り道。
いつも8時近くまで練習してたから、
日が暮れる頃に外を歩くのはなんだか懐かしくて。
川尻「Aちゃん駅どこ?」
「え?いや、さすがに最寄りまで送ってもらうのは…」
川尻「もういいよって気ぃ使わんと!」
「…蓮くんって優しい性格に隠れてゴリ押しするよね」
川尻「えぇ?なんのこと?」
眉を上げてとぼけたように笑う。
逆にわざとらし!
蓮くんに時々支えてもらいながら駅のホームに降りる。
この時間は大学生や高校生がちらほら見えた。
川尻「…今さらやけど、今日キツイこと言ってごめんね」
「でも本当の事だったから。私のほうこそ隠してごめんなさい。
蓮くんに気づいて止めてもらえて良かったです」
川尻「え?」
「もしあのまま出場して、
失敗したらもうダンスできなくなるかもしれないから」
川尻「……」
反対側のホームに電車が入ってくる。
吹き抜ける風に髪が乱されてしまって、
整えながら、ふと、視線を感じた。
隣の蓮くんがジッとこちらをみつめてる。
目があっても、そのまま。
「蓮くん?」
川尻「…俺、結構人のことを見とるんよ」
「? まぁ、たしかに…?」
川尻「相手の考えることとか察しやすい方で」
「心理戦とか好きですもんね」
川尻「……ね、Aちゃん。
Aちゃんはこんなふうに聞かれるの嫌かもやけど…」
電車がホームに入ってくる。
空気が弾けて整えたばかりの髪をまた乱していった。
なんとか顔にかからないよう防ぎながら
蓮くんの言葉を待つ。
彼は一度視線を落として、
それからゆっくり顔を上げた。
柔らかく微笑むと、
細い目がさらに細くなる。
川尻「Aちゃんって、俺のこと好いと?」
「……へっ」
川尻「ちがう…?」
駅のアナウンスが響き渡る。
固まる私に蓮くんは「とりあえず乗ろ」と
手を引いてくれて。
後ろの扉が閉まってようやく、
心臓が大きく波打った。
「…っ、答えなあかん、ですか?」
川尻「んふっ。…もう言わんくても分かる」
「……ずるい。何笑てるんです」
川尻「半分希望論だったけん、嬉しいんよ」
「ぇ、」
小さくて、私だけにしか聞こえない声。
耳元で囁くその声はいつもより低くて
にぃ、って笑う笑みはいつもより意地悪で。
でもどこか嬉しそうでもあって。
川尻「…俺の彼女になってくれませんか?」
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Shiu(プロフ) - ぴさん» コメントありがとうございます!お返事が遅くなってしまってすいません…!最近ようやく私生活が落ち着き、他作品から完結に向けてお話を進めています。こちらのお話もきちんとした形に終わるよう更新する所存です、もし良ければお待ちいただけると幸いです…! (4月10日 21時) (レス) @page29 id: de23370fb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 感情移入して泣きそうになりました…更新楽しみにしてます… (10月1日 3時) (レス) @page29 id: 69b32d86ae (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ななしさん» こんばんは!暖かくやさしいコメントをありがとうございます…!終盤直前で停止させてしまってすいません(;-;)完結させたい気持ちはとてもあります!また楽しく読んでいただけるようがんばります!!励みになりました、ありがとうございます! (6月21日 19時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - コメント失礼します。主人公の性格も蓮くんも人間らしくて素敵で、読んでいて落ち着く(表現変かもしれません)お話でした⋯!更新まったり楽しみにしています✨ (2022年6月20日 15時) (レス) @page29 id: 791bab0b0f (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - ^^さん» コメントありがとうございます!数少ない小説の中から見つけて下さりありがとうございます(*´-`*)妄想空想こじらせた小説ですが、実際の蓮くんはもっとかっこよくて魅力的な方です…!ぜひ堕ちましょう💓💞更新頑張ります! (2022年6月9日 5時) (レス) id: 4d51508915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiu | 作成日時:2021年9月8日 2時