29話 ページ29
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レジにほっぺを押し付けて
今日何度めかのため息を溢してしまう。
私の代わりにパンを並べてくれている
翔也くんがトコトコと私の隣に歩いてきた。
木全「今日のAちゃんいつも以上に生気ないね」
「うん…ねぇ木全翔也くん」
木全「はい。僕は木全です」
「…告白をした返事が、
『聞かなかったことにさせて』ってどういう意味?」
___昨日の夜、ご飯の帰り道。
私は彼に気持ちをそのまんま伝えた。
そりゃぁ緊張した。かなり勇気を出した。
だって生まれて初めての告白だったから。
私の思いを聞いた彼はわかりやすいくらい
顔を真っ赤にして、お馴染みの照れ隠しの
口を手で抑える仕草を見せて、
絞り出すように『聞かなかったことにしていい?』と
聞いてきたのだ。
構えていた私は拍子抜け、
その答えの真意もわからぬまま「うん」と
返事をしてしまったわけで。
翔也くんは「あー」と考えるように
声を出してから、あっけらかんと教えてくれた。
木全「『気持ちには答えられません』ってこと?」
「つまり?」
木全「Aちゃんは振られました」
「翔也くん言い方他にないの?」
木全「相手って景瑚くん?」
「……」
木全「あ、やっぱり?
Aちゃん異性絡み全然ないからそーかなって」
一切悪意のないぽへぽへした顔で
もう一度パンを並べに行く翔也くん。
私はもう一度大きなため息を吐き出してしまう。
___思いを伝えた私に佐藤くんは
「聞かなかったことにして」と言った。
それがどういう意味なのか
翔也くんに聞かなくても分かること。
ただ納得がいかない。
あれだけ思わせぶりなことをしておいて
いざ思いを伝えたら拒絶されて。
……納得がいかない。
木全「Aちゃんから告白したのは意外だったなぁ。
俺逆かと思ったよ」
「これからどうしたらいいと思う?」
木全「どうすることも出来ないんじゃない?」
「なんて残酷な…」
木全「世界は残酷なのよ、エレン」
「翔也くんやめなさい」
そんなやり取りをしていると、
扉が開いてカランコロンと音が鳴った。
この時間に来るのは一人しかいない…と
思ったけど、入ってきたのは男子生徒二人。
背の高い彼の姿はなく、
「めっちゃええ匂いするー!」と元気な声がしてきた。
「あれ、二人とも…」
白岩「こんにちは」
河野「俺これ食べたいー!」
木全「また知らない人たちが増えた…」
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Shiu(プロフ) - tomo102030ytnさん» わわわ…!作り手として光栄すぎるお言葉をありがとうございます…!!そんなふうに思っていただけて作れてよかったなぁとあらためて思います(;_;)続編がんばりますね!また読んでもらえたら嬉しいです(*´∀`*) (2021年9月10日 21時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - かんさん» 最後まで読んでくださりありがとうございます!胸キュンしてもらえたみたいでとてもうれしく思います(*´∀`*)こちらこそ温かいコメントをありがとうございました!! (2021年9月10日 21時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
Shiu(プロフ) - いちごだいふくさん» いつもお話読んてくださりありがとうございます!褒め言葉のオンパレードにニヤニヤが止まりません…(*´∀`*)温かいお言葉本当にありがとうございます!とても励みになります(;_;)!! (2021年9月10日 21時) (レス) id: 3e168f23de (このIDを非表示/違反報告)
tomo102030ytn(プロフ) - コメント失礼します。佐藤くんのお話凄く面白かったです!!!他の作品もですが全ての作品を読みたい!!!と思わされる作品で感動しております。続編も楽しみにしています!!! (2021年9月10日 20時) (レス) id: cbe5d57ce7 (このIDを非表示/違反報告)
かん - すてきなお話ありがとうございます! テンポよくお話が進んでいくのであっという間に読んでしまいました!けいごくんこ甘々なところ毎回最高に胸キュン回でした!! (2021年9月9日 22時) (レス) id: 00b03b7ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiu | 作成日時:2021年8月12日 23時