甘 す ぎ 危 険 。【佐藤景瑚】

21話 ページ21

.







「……っ」

佐藤「んふふ、顔赤いよ」

「そんな真正面から言われると……さすがに照れる」

佐藤「ドキドキしちゃった？」




ケラケラと笑う佐藤くん。


…もう私の負けだよ。



悔しくて恥ずかしくて、軽く背中にパンチした。




「後悔しても知らないからね」

佐藤「しないしさせないよ〜？
だから早く俺のこと好きになってね」

「…検討はする」

佐藤「ほんと？やった」




何だこの会話。

おかしいのに、楽しくて居心地良い。


佐藤くんは嬉しそうに笑ってくれた。



……佐藤くんの彼女になったら、
もっと楽しくなるのかな。




なんて柄にもないことを考えてしまう。


生まれてこの方、殿方とお付き合いしたことなんてないのに。





「あ」

佐藤「ん？」

「そういえばさっきのテスト、
保健体育なかったね。まだ返却されてないの？」

佐藤「あー…返ってきたよ？」

「そうなんだ。どうだった？」

佐藤「………」

「佐藤くん？」

佐藤「……28点」

「……」

佐藤「……」





なんじゃそりゃ。

唯一赤点回避候補だったのに。


完璧なオチに思わず吹き出して笑ってしまった。




佐藤「笑わないでよ〜！」

「いやだってさぁ…ふくくっ…保健体育28点って…ふふ…」

佐藤「だって記述ばっかだったんだもん」

「佐藤くんらしくていいけどね」

佐藤「それは心外なんですけど」





駅について、傘を閉じる。


いつもより道がびしょびしょだ。



かなり降っていたし仕方ないかもしれない。



佐藤くんの28点の言い訳を聞きながら
駅のホームに降りた。





佐藤「…デート、だめですか？」

「28点だからなぁ」

佐藤「う……」

「嘘だよ。頑張ったもんね」

佐藤「え？いいのっ?!」

「流石にここで断るほど鬼じゃないよ」

佐藤「ほんと？ほんとにほんと？」

「ほんとのほんと」

佐藤「めちゃくちゃ嬉しい…！
ね、ね、どこ行きたい?!」

「佐藤くんに任せるよ」





佐藤くんは本当に嬉しそうに笑って、

行きたいところの候補をたくさんあげてくれた。



…どうして私なんだろう、なんて考えるのはやめよう。



逃げてちゃだめだ。



ちゃんとこの人に向き合いたい。







彼のいなかった1週間が
思い知らせてくれた。








デートスポットについて力説する彼の話を聞きながら

そう、胸に決意する。









佐藤「Aさん絶叫系苦手？」

「結構好き」

佐藤「あ、そうなん…」

「佐藤くん苦手？」

佐藤「べべ別にぃ？」

22話→←20話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す