甘 す ぎ 危 険 。【佐藤景瑚】

12話 ページ12

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「だからね？ここの分子を分解すると隣の式と同じところが出てくるから、ここをXにしてまとめたら計算がしやすくなって…」

佐藤「うぐぬぬ…」

「この問題はさっきの応用だよ、文章長いから混乱するけど、数字書いてあるとこと名詞だけ線入れたら読み取りやすくなるから…」

佐藤「ストップ！」





無事に始まった勉強会は開始から約2時間。


5回目となるストップが言い渡され、
佐藤くんは机に突っ伏した。



順調、というには程遠い状態。




佐藤「頭いっぱいだよ〜…」

「でも佐藤くん、計算は間違えないじゃん。
やり方さえ覚えちゃ簡単だよ」

佐藤「うぐ〜」

「気分転換に日本史やる？」

佐藤「気分転換になりません〜…」




なんか頭から煙がプスプス出てるみたい。

そんなに詰め込んじゃったかな…。


少し申し訳ない。


でも、本当にいい線までいくんだよね。

あと少しってところでミスしちゃう。




佐藤「Aさん俺を癒やして…」

「好きなだけ見ていいよ」

佐藤「見るだけじゃ癒やされませんっ」

「前に言ってたことと違うじゃん」

佐藤「あ、わかった。俺の好きなとこ言ってほしい」

「可愛いところ」

佐藤「ちがぁーうっ！」




なんてワガママな。


佐藤くんは顔を突っ伏しながら
「もっと男らしいとことか褒めてよ」と
不満を垂れ流す。


あいにくそんな場面は見たことがない。





その時だった。





？「あれ？景瑚？」

？「うわ！ほんまや！」




隣を通り過ぎようとした男子高生二人が
私達のテーブルの隣で止まった。


土曜日だというのに制服。




佐藤「サイアク…」

？「え、勉強してるん？！景瑚が？！」




歯を見せて叫ぶ…大きな声で話す男の子に
佐藤くんは隠しもせず鬱陶しそうな顔をする。

隣の髪がサラサラの男の子は
「純喜うるさい」とはっきり言い切った。



じゅんき、と呼ばれた男の子は
何か文句を言っていたものの、

私と目があった瞬間息を呑む。



…表情の忙しい子だな。





？「えっ彼女？！」

佐藤「そんなとこ」

「佐藤くん？」

？「土曜日にパン屋のお姉さんに
勉強教えてもらうってはしゃいでたじゃん。
もう忘れたの？」

佐藤「…ちょっと、瑠姫くん」





あっ、と口を手で抑える男の子。

るき…と呼ばれた男の子は誤魔化すように
私の方を見てペコッと頭を下げた。




年上として聞いてなかったことにしてあげよう。









「本当にお友達いたんだね」


佐藤「Aさん？」

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