End of Line 2 【登坂広臣】 (ページ12)

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彼女に言われた通り、その後の撮影を逃すことなくずっとみてた。

直人さんの言った

" 刺激的 " はきっと彼女がメンバーと密に絡む撮影のことを言っていたんだと思う。

けと、刺激的なのはそんな姿形の容姿じゃなくて

「相変わらず相性がいいねぇ」

「華やかになったなぁ！」

彼らを引き立たせる為に入っていったはずの彼女が、あまりにも綺麗で引き立て役に収まらない美しさを放っていて

それが、
あまりにも

おみくんとの完成した世界観を見せつけられたから。

指をいっぽんいっぽん

ゆっくりと絡めていく2人は、額を合わせた

その後ろに映し出されるシルエットが綺麗なラインを映した

私の頬を撫でたあの手が

彼女の身体を優しく滑っていく

お仕事なんてそんなことはわかってる。

嫉妬とか、そんなんじゃない

もっと苦しい

劣等感

そんなものがわたしを締め付けた

嫉妬だけの方が

気持ちのやり場があった

逃げた

捨てた

過去にしてしまったことは変わらなくて

苦しい
ぎゅっと胸元を抑えた

何かが変わった

新しい一歩を踏み出せると思っていた

そのとき

「なんでそんなに苦しそうなの？」

蘭堂さん

優しい声で

静かに隣に腰掛けたのは

さっきまで撮影していた彼だった

『岩田さん…』

「はい。岩田さんです」

ふふって笑った

「大丈夫ですか？」

『え…？』

「なんか、苦しそうだなーって思って」

心配そうな顔に嘘はなさそうで

本当にそんなふうに声をかけちゃうくらい、私は顔に出ちゃってたんだ…

『……あまりにも、みなさんが綺麗で…』

さっきまでの岩田さんを思い出していった

メンバーとの撮影でキラキラ笑ってたかと思えば
艶やかに微笑を浮かべたり。

「もー。ウソとホント織り交ぜたでしょ！」

ムリしちゃって～

ダメだぞ～？

ムニムニってほっぺを摘まれて、

思わず
笑いが込み上げてきた

「そうそう。

蘭堂さんは真顔も、考えてる顔も

すーっごく綺麗だけど

笑ってる方がずーーーっと素敵だよ」

ちょっとだけ

彼を子犬と思っていた自分に馬鹿って言っておこう。

彼は

子犬の皮を被った虎だ。

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