【文スト】青い瞳の人形【完結】

逃亡 ページ28

「どうしたの？

お遊戯はこれからが本場よ！

貴方は鬼遊の天才みたいだけど、此の状態で何分心が保つかしら？」

モンゴメリはそう云って笑い、再度敦に攻撃を仕掛ける。

敦はそれらを必死に交わす。

何時までも逃げてばかりでは敦の体力切れで終わりだ。

然しかといってアンに攻撃の手段はない。

勿論人質を解放する手段も。

次第に敦は体力的にも精神的にも追い詰められていった。

終に諦めた敦は対決を諦め外に居る太宰を頼ろうと扉に向かって駆け出す。

「お友達を捨てて逃げる気!？

沙羅！捕まえて！」

モンゴメリは慌てて扉の近くに居る沙羅に向かって叫ぶ。

彼に逃げられたら作戦は失敗で組合を追い出される。

モンゴメリはそれを何よりも恐れた。

云われた沙羅は敦を捕まえようと異能空間から取り出したものを上から降らせて、足止めをしようとする。

然し虎の反射神経で敦はそれらをすべて交わしきる。

敦の手がノブに触れようとしたとき



「駄目だよ少年。

敵はあっちだ」

森が敦の躰にまとわり付いて居たリボンを引っ張った。

均衡を失った敦はその場にひっくり返る。

他の二人も真逆この冴えない叔父さんが捕まえるとは思っておらず、ポカンとする。

「この場合での逃亡はお勧めしない。

その・・・・・・

高が町医者の言葉を信じて貰えるならば、だが」

森は自分の立場を思いだし、慌てて付け加える。

「彼女の言葉を信じるならば、そのドアから出れば君は記憶を失う」

そう云ってドアを指す。

「敵の手管も、捕らえられた仲間の危機も忘れ、敵は進撃を続ける。

佳い事を教えよう」

森は掴んで居たリボンの端を敦に差し出す。

「戦戯理論研究ではない危害を加えて来た敵には、徹底反撃を行うのが論理最適解とされている。

二度と反逆されぬよう、此処で徹底的に叩くのだ」

「でも方法が」

「絶対に負けぬと高を括る敵ほど容易い相手はいないよ」

そこで森は少し考える仕草をしてから云う。

「抑も先程聞いた噺では、あの部屋に居る彼らは君が囚われたとき、必死に助けたと云う話ではなかったかね？」

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