10 ページ10
ピンポーン
室内に響いた音が、外に漏れ聞こえた。
『はーい』
「隣に引っ越してきたものです。夜分にすみません。ご挨拶に伺ったんですが、」
『今開けまーす』
開いたドアから覗いたその人と、目が合った。
「「あっ！」」
お互いの顔を見て、思わず声を上げる。
「あの時はどうも…」
恥じらうように笑った彼。
あの時のスーツとは違って、Tシャツに短パンのラフな格好。
意外とゴツいんやなぁ、なんて、ドアを押す二の腕に目がいく。
「まさかお隣さんやったなんて。こんな偶然あるんですね」
「ほんま、まさかですね、」
「また会うとは思ってへんかったから…情けないとこ見せてんのに。恥ずいわぁ〜」
二人がけのソファに促されるも、彼は下に座ろうとしてるから、俺もラグにお邪魔する。
お互いに自己紹介。
けど、なんか込み入った話聞いてんのに、今更感半端なくて、笑けてしまう。
「あ、甘いもん食べれます？これ、バームクーヘンなんですけど、よかったら。賞味期限あんま長ないんで、食べきれへんかったらラップして冷凍しとってくださいね」
「なんや、オカンみたいやな。笑」
「それ、よく言われる。笑」
紙袋を受け取って、おしゃれー、って中を覗いてる。あの夜より、ずっと少年っぽい…子どもっぽい人。
「ありがとう！甘いの食べるけど、たくさんは食べれへんから、今から暇やったら一緒に食べへん？2人で食べたが絶対うまいやん」
「え？ええんですか？自分の分、買わへんかったんです」
一人で食べるの、まだ慣れてへんくて。
寂しくて買えへんかった。
一度食べてみたかった人気のお店のバームクーヘン。
誰かと食べられる喜びも相まって、ついはしゃいでしまう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 424人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はみちゃん(プロフ) - お互いに書くと描くだけど、刺激しあえてとてもよい縁をいただけました🥰こちらこそこれからもよろしくね💚🫰🏻 (2022年11月20日 10時) (
レス) id: 953c15c47b (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - はみちゃんさん» がんばってる所を描くとはちょっと違うんだけど、最後に赤くんに最高の幸せが降り注げばなぁとこんな形にしてみました💚二人の関係はこのままいってほしい！はみちゃんの絵と感想のお陰で、毎日の更新すごく楽しかった💕これからも仲良くしてね🥰 (2022年11月20日 9時) (レス) id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
はみちゃん(プロフ) - あの時の感想がこうしてお話になっているのに感動してます……✨7ちゃんありがとう！！頑張って精一杯アピールしてるのに気づいて貰えない赤くんが幸せになってとてもとてもよかった。なんとお礼を言ったら良いのか😭素敵な作品をありがとうございます🥰 (2022年11月20日 9時) (レス) @page48 id: 953c15c47b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2022年10月29日 17時
