Colorful stories 7（W．短編集）

天使の甘い罠 ページ38

「あ゛〜！今年こそは彼女欲しい！なぁなぁ、誰かええ子おらんの〜？」

毎年、いや、毎シーズンぼやいてる気がする。

「どんな子がいいん？」
「え！紹介してくれるん？」

飛びつくと、
しげの好みわからん、と半分ニヤけただらしのない顔。なのにイケメンなのが腹が立つ。

「…優しくて、笑顔が、かわいい子…？」
「おるわ。」
「まじで？」
「絶対しげ好きやと思う。ほんまにええ子で、笑った顔が天使やで」
「会いたい！流星、セッティングして！お願い〜」

手を擦り合わせて拝むと、流星も嬉しそうにスマホを取り出した。

「望と仲ええから、4人でご飯行こか？」





前は急げ、と、まさかの今日会うことになった。

男子大学生にはお洒落すぎるカフェレストラン。隣に座る流星は、サマになってる。


小瀧が連れてきたのは、


…男。
しかも見たことないような派手な服と派手な服の組み合わせ。
しかも金髪。

俺と見た目、正反対やん。
染めたことない黒髪に、アクセサリーなんてゼロ。
服は基本黒か白にジーパンかジャージ。

おい！やからモテないとか言うなっ！



流星の袖をこっそり引く。

「なんなん、コイツ」
「神ちゃん」
「そうやなくて、まずはさ、」
「しげ、絶対好きやで、神ちゃん」
「んなわけっ」


つい大きくなった声を遮ったのは、少し高い神山くんの声。

「俺の方こそごめんやで、こんな礼儀のないやつ。帰るわ、のんちゃん、流星、ごめんな？」

睨みつける目は、二人に向けられると三日月みたいに細められた。


「神ちゃんっ！」

追っかけた小瀧は、店の外に出て行った。


「あほしげ…」

流星の嘆きが、ポツンと浮かんで消えた。



最悪のファーストコンタクトは、出会って1分も経たずして幕を下ろした。

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