keep your doubt（JW赤×緑） (ページ34)

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「しげ？」

前方から駆け寄ってくる女性。

「やっぱりしげやん！2年ぶり⁉︎」
「あ、ひさしぶり、」

しげの気まずそうな態度に違和感を抱く。
初めこそ若干人見知りするけど、しげは慣れればコミュ力お化け。
羨ましいくらいに。

そっと手を離して、ペコリと会釈すると、キラキラした笑顔で頭を下げるかわいらしい女性。

「また連絡するわ！」

そう言って、手を振りながら、待ってた友達のとこに戻ってった。

ごめん、行こか。
そう言うしげとは、目が合わない。

帰り道は、おしゃべりで盛り上がる。
いつも以上におしゃべりで落ち着かないしげに、どんどん冷静になる俺の頭。

あかん、考えへん方がええ。
こういう時、人って大体悪い方に考えがいくから。
例に漏れず、俺もそのタイプ。
そして勘のええ俺。その勘は大抵当たる。

「さっきの人、誰？」

なんて聞けない。
ドロドロしたとこなんて見せて、しげに嫌われたくない。
しげのこと、失いたくない。

ソファに並んで、映画を見る。週一のお楽しみ。
今日は、ずっと俺が見たかったSFもの。なのに、内容は全然頭に入ってこない。

隣で時々スマホを見てるしげ。
しげの表情は見えないけど、今日の女の人の笑顔が脳裏に浮かぶ。

連絡する、って言うてたから。
メールが来たから返してるだけ。
そう言い聞かせながら、流れる画面をただ眺めてた。

エンドロールが終わっても、それに気づかないしげ。
しげの向こうにあるリモコンに手を伸ばすと、視界の端に入ったスマホの画面が暗くなった。

そんなに見られなくなかった？
見るつもり、ないよ？
ないけどさ、そんなにあからさまに隠されたら、疑いたくなるやんか。

堪えてた気持ちが溢れ出しそうで、
それをグッと飲み込む。

「ごめん、今日は疲れたからもう寝るな」

黙ってるしげを置いて、寝室に入った。
しばらくすると、玄関のドアが閉じる音が聞こえた。