ほのぼのかみしげ物語

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桃side



「どう？この服、あんま日本に流通してないねん。やっと手に入れてん！」

手を広げて、くるりと回る。
新しい服がかっこええからと、楽屋でメンバーに披露する神ちゃん。

「かっこええやん！」
「ほんま、神ちゃん似合うわ」
「モンチは、なんでも似合うからなぁ」

メンバーに褒められて、ニコニコの神ちゃん。
ただ、しげの反応だけがどうも薄い。

ちらりと視線やったかと思うと、すぐに手元のスマホに目を落とした。




「…しげ、どう？新しい服。めっちゃかっこええと思わん？」

好きな人にも褒めてほしかったんやろう。
思い切ってソファに駆け寄った神ちゃんが、しげ声をかけた。

「んーかっこ…ええか？」

首を傾げて、言葉を探すような仕草。
神ちゃんは、わかりやすくしょんぼりして、その場を離れようと、しげに背中を向けた。

慰めのハグしたる！
おいで〜と手を広げようとしたその時。



「かわええで？」

思ってもみない言葉に一旦立ち止まる。それでも振り返る勇気まではないらしい。
その背中に向けて、しげが言葉を続けた。

「神ちゃんは何着てもかわええし、何しててもかわええ」
「あ、え、…それ…」

しげは、固まってもうた神ちゃんの頭を撫でて、そのまま楽屋を出てった。


「確信犯やな」
「悪い男やで」
「ここまで来たら、楽しもうや」
「付き合ったら、この構図、どうなるん？」


真っ赤な顔して立ち尽くす神ちゃんには、俺らの会話は全く聞こえてない様子。


俺たちの楽しみは、まだまだ終わらない。

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