17. ページ18
緋山先生side
小児科の入口の前に来ると、それまでにこにこと楽しそうに話してたAが急に無言になり、足を止めた。
『ほら、歩いて。入るよ?』
A「やだー…」
『もう…何でやなの。』
しゃがみこんでしまったAの前にしゃがむ。
A「だって…怒られる…」
俯いたまま小さな声で言うからがんばって聞き取ったら…
怒られるって分かってるのにやったのか。
『はぁ…怒られるって分かってるのに何で抜け出したのよ…ほら、行くよ。よっ…』
A「あー、下ろしてーっ」
手を引いても立たなそうだから抱っこした。
脚をバタバタさせるもんだから地味に痛いんだけど。
『はい、とうちゃーく。すみませーん。』
小児科に入り、半べそをかいてるAをナースステーションの前で下ろすと私の脚に隠れるように後ろに回ってこれでもかとくっついてきた。
看護師「すみません…ありがとうございます…」
『こちらこそ、すみませんでした…ほら、A?』
Aを促すように背中を押すも、私にくっついたままいやいやと顔を横に振って出てこない。
看護師「Aちゃん?おいで?」
看護師さんがこれでもかと言うくらい優しい感じで言ってくれてるのに…
『すみません。なんか、怒られるーとか言ってビビってんすよ。笑。自分でやったのに。笑。いたいいたいっ』
A「んーっ」
笑いながら言ったら脚を叩いてきた。
看護師「なるほど…笑。Aちゃん、怒らないから、おいで?」
A「嫌…」
まだ嫌なのか。
『はぁ…ナースも怒らないって言ってんじゃん。後はなにが嫌なわけ?』
さすがにイライラしてきた。
A「…お姉ちゃんの…とこ」
看護師「ん?なーに?」
あー…そういうこと。
『たぶん、大人しくしてなかったから午後、救命に行けないんじゃないかって心配みたいです。笑。』
看護師「あー。Aちゃん、私の方見て?」
A「ん?」
あ、やっと顔だした。
なんか濡れてると思ったらやっぱり軽く泣いてた。
看護師「私も先生もね、Aちゃんを懲らしめようと思って意地悪を言ってるわけじゃないの。Aちゃんのことを思って言ってるのよ?」
A「うん…ヒック…」
あーあ、涙で顔ぐちゃぐちゃ。
看護師「Aちゃんなら分かってくれてるよね?」
A「ヒック…う…ん …ヒック…ごぇんなさ…ヒック…い…ふえぇ…」
看護師「はい、よく言えました。」
713人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まちゃ(プロフ) - この小説ほんとに面白くて大好きです!! (2018年6月16日 6時) (レス) id: 827384ec1a (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 名取先生とかも出してほしいです (2018年2月27日 1時) (レス) id: b35bb8b960 (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - 智未さん» 喜んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。 (2017年11月2日 19時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)
智未(プロフ) - リクエストに応えて頂きありがとうございます!とても、面白かったです!次のお話も楽しみです!これからも頑張って下さい!応援してます! (2017年11月2日 18時) (レス) id: c6b9284cf3 (このIDを非表示/違反報告)
みろ(プロフ) - レインさん» ありがとうございます。 (2017年11月2日 17時) (レス) id: 8819c6dc4a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みろ | 作成日時:2017年9月7日 0時