情報屋Nの受難【名探偵コナン】

case.45 ページ46

面倒くさい。


何故彼が此処まで自分に執着するのかはわからないが、非常に面倒くさい。



目の前に頼んだものを置いて、カウンター越しににこにこと笑みを張り付ける安室透の胡散臭さといったら、横にいるコナンくんの顔も引きつる程であった。


構わずハムサンドを口にして咀嚼する。
ああ、やっぱり美味しい。ハムサンドに罪は無し。


「それで？キッドにのうのうとキスをされて逃げられたと？」


『手の甲に、ですよ。此処重要なんで省かないでください。因みに帰って速攻で手洗った。あのキザ野郎、今度あったら個人情報ばら蒔いてやる。』



「(おいおい…どんだけイケメン嫌いなんだよ…)」



「…何時に無く不機嫌ですねぇ」


『あ゛？わかってんなら必要以上に話しかけんな。』



「す、すみません…」


Aの豹変ぶりに安室とコナンはポカンとして視線を合わせた。


その時、不意にAの電話が鳴った。
端末を取り出して画面を見たAは舌打ちを一つして、耳に当てた。


その瞬間、先程までの険悪さが嘘のように明るい声で電話に出る。


『はぁい、こちら千澄の携帯ですが〜』


その変わり身の早さに傍で見ていたコナンと安室は顔を引きつらせ、彼女から距離を置いて端の方へと移動した。



電話の邪魔をしては悪い。


そんな言い訳を心の内に聞かせて。

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