片翼の天使 Ⅱ (ページ43)

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早々に帰ろうとする鶴蝶を捕まえて
かれこれ3時間以上は喋ってる。
でも少し寂しいのは、きっと
竜胆がいないから。

空になったグラスを転がしてると
二人の会話がどんどん遠くなって
ボーッとしてきた。

蘭｢A、眠いの？｣

A｢眠くない｣

グラグラと不安定に揺れる体を必死に保つ。
結局眠気に勝てない私は力尽きるように
ポスッと蘭の胸に体を預けた

蘭ってほんといい匂いする…
竜胆と少し違う…甘い香り。

りんどー？
あぁ…竜胆に会いたいなぁ。
ギューって抱きつきたい…
今頃何してんだろ…寝てるのかな…
傷開いてたし熱出てないといいけど…

蘭｢A？｣

鶴蝶｢ははっ、寝てんじゃん。
こーして見るとAって
イザナに似てるよな………
って、双子だから当たり前か
髪短い時は見分けつかなかったからな…｣

蘭｢やべぇ…可愛くて襲いそう｣

鶴蝶｢冗談だよな｣

蘭｢………｣

鶴蝶｢おい！｣

蘭｢冗談だよ、なにムキになってんだよ鶴蝶。
弟の女に手ぇ出すわけねぇじゃん｣

ふわっと体が宙に浮いた感覚がして
重い瞼を開けると蘭と目が合った

A｢ん…？｣

蘭｢俺と一緒に寝ようなぁ♡｣

私を抱えたまま器用に寝室の扉を開けて
そっとベットに寝かされると
「ちょっと待っててな」と頭を撫でて部屋を出ていった。

遠くから聞こえる水の音。
暫くすると戻ってきて
布団に入るとそのまま背を向けて寝てしまった。

" 苦しい時は何も言わなくても側にいるから"

"大将が、Aにしてくれたみたいに "

A｢蘭…｣

寝てしまった彼には届かないような小さな声で名前を呼べば、
振り返った蘭と暗闇の中、確かに目が合った。

蘭｢どうした？｣

A｢あの…｣

言いかけた途中で気づいたのか
おいで。と腕を広げる蘭に抱きついた。

蘭｢ごめん、意地悪した。
Aから言ってくんねぇかなって…｣

そういう子供っぽい所、竜胆とそっくり。

眠さで朦朧とする意識の中、蘭の胸に顔をうずくめた

A｢蘭ちゃーん｣

蘭｢はぁい｣

A｢ありがとぉ…｣

蘭｢ふっ、可愛すぎだろ。
今日はいっぱい泣いたもんな…
おやすみ、A。｣