26話 優しい嘘 ページ26
やふへゐ先生Side
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荷物を置いて、1階の部屋へとやってきた。
当の本人はというと…
俺を横目で確認し視線をスマホに移す。
「だいちくん、さっきの嘘でしょ?」
俺は、ドアに背を向けて体重を預けた。
先程の一部始終を階段の陰から見ていたけれど
…だいちくんの手が微かに震えていた。
「…あれ、もしかして見てたの?そっかー」
笑みを浮かべ、画面から視線を俺に向けた。
「本当は、何て言ってたんすか?」
「2人とも、Aちゃんのことが好きなんだって」
…やっぱり。
内心、そうじゃないかと勘づいていたし。
「Aちゃんの前で言ったら、ほら…悪いじゃん」
まぁ、確かに。
でも、疑問に思って仕方がないことがある。
…何で他人事のように振舞っているのか。
「だいちくんはどうすんの?」
「ん?どうするって…俺は見守るだけだよ?」
まさか…気づいてない?
あんなに分かりやすく行動しちゃってんのに。
「いやいや、だいちくん」
俺は知ってたよ。
Aちゃんが配達に来た時、
どんなに編集で忙しくても
玄関までの距離が遠くても
いつも我先に、荷物を受け取っていたのは…
…だいちくん、じゃん。
「やふへゐくん、Aさんが呼んでますよー」
2階からともたかが叫んでいる声が聞こえた。
そろそろ夕食を手伝う時間か。
「わかったー」
大声で返事をして、ドアから体を起こした。
だいちくんは、優しすぎる。
だからこそ肝心な時に手遅れに…。
「…本当に、それでいいの?」
「何が?俺は別に関係ないし」
あの2人の優しさに漬け込んでしまっているなら
…ここで俺が気づかせるべきだと思った。
「だいちくん、Aちゃん好きだよね?」
この選択が、正解でありますように。
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影裏(プロフ) - 更新まってます!! (2022年6月6日 4時) (レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります! 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました!いいお話ですね!一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか? (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました! (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます!いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりんみみ | 作成日時:2018年12月23日 15時