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21話 温かくて ページ21

 
 
 

一人でリビングのテーブルに座り、

昨日作ったアップルパイを切り分けた。



サクサクの生地にバターの香ばしい匂い。

フォークで一口大に切って、口へと運んでいく。



…美味しいはずなのに

先程のことが突っかかって喉が通らない。





「Aちゃん、ただいま〜」





出かけていた3人が帰ってきた。

颯爽とした表情でだいちさんは姿を現す。





「おかえりなさい」





すぐさま立ち上がり、駆け寄った。





「はぁあ…めっちゃ重かったっすよ…」





「あー…肩がマジでどうにかなりそう」





後ろに居たともたかさんとやふへゐさんは

肩に担いでいた大きな袋を床に下ろした。




ドスッ、と重く鈍い音が響く。

何が入っているか、凄く気になるけど…




今はさっきのことを早く言わなきゃ。





「あの!はじめさんとたなっちさんが…もめてて…」





その先を言おうと、話を続けようとしたが




勢いで言ってしまったから

上手く説明できず、口を閉じてしまう。




…黙って聞いていただいちさんの体が動く。



はっきりと言えない私に飽きれたはずだ。




私は服の裾をぎゅっと握り締めながら

だいちさんの行動を見守る。




ピタッと私の目の前で立ち止まり

何が伸びてきて、私の頭にのしかかる。





「…え、だいちさん」





だいちさんの優しい手つきで撫でられてる。





「あいつら、Aちゃんにこんな顔させてるの気づいてないのかねー」





静かにため息をつきながら、だいちさんの顔が近くなる。





「…大丈夫。俺に良い作戦があるから!」





私の耳もとでそっと呟き、体が離れていった。

少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべて、楽しそうだ。





「だいちくん、相変わらず悪そうな顔っすね…」





「確かに…」





ともたかさんとやふへゐさんの一言に、

だいちさんはハッと我に返り





「なっ…!俺、いつもこんな顔してないけど!?」





慌てふためくだいちさんのやり取りに

一気に笑いが溢れ、温かい空気が流れこむ。




…その様子に、私の心はほぐれていった。

22話 好きの感情→←20話 伝わる体温



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作品ジャンル:恋愛
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影裏(プロフ) - 更新まってます!! (2022年6月6日 4時) (レス) @page33 id: 54dee88f37 (このIDを非表示/違反報告)
カシスちゃん - 次のお話が気になります! 更新待ってます (2019年10月24日 2時) (レス) id: df66e26c2f (このIDを非表示/違反報告)
名無し22819号(プロフ) - コメント失礼します、1話から全部読みました!いいお話ですね!一つ質問なんですが、このお話は誰オチですか? (2019年10月8日 13時) (レス) id: 422de7f24a (このIDを非表示/違反報告)
麗音 - 最近見始めました! (2019年9月21日 9時) (レス) id: f13e29755c (このIDを非表示/違反報告)
みりんみみ(プロフ) - かなちぃさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません。ありがとうございます!いつでも振り返られるように工夫してみました♪ (2019年8月17日 13時) (レス) id: d6ce8c8a6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みりんみみ | 作成日時:2018年12月23日 15時

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