吉原と愛に響く旋律。 (ページ6)

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疲れた～。

仕事を終えて家に帰った。

1:45。

深夜もいいとこだ。

明日…あ、もう今日か。
集合は午後だから昼まで寝てよ…。

適当に鞄を机に置いてベッドに倒れ込んだ。

置いた場所が悪かったのか
鞄が崩れ落ちて中身が全部出た。

あ～、やっちゃった。

その中からコロコロ転がってきた金平糖が入った小瓶。

手を伸ばして拾い上げる。

よかった、割れてない。

謙「金平糖なんて久々だなー。」

蓋を開けるときにパキッと音がした。

1粒、口に放り込む。

甘い。
疲れた身体に染みる…。

カリッと奥歯で噛んだ瞬間
身体が浮いたような感覚になった。

目を開けると畳の床。

えっ？

俺の身体は浮いていた。
そして急に重力が働いて叩きつけられる。

謙「いったぁー…」

俺の部屋は畳じゃない。
暗闇でもわかる。

ここどこ…。

紫「随分、変わった主様え…。」

暗闇の中から声がした。

月明かりが射し込んで声の主に俺は息を飲んだ。

結ってある黒髪にかんざし、白い薄衣を着た女の人…。

怖いくらい綺麗な人だった。

謙「お前は…」

紫「わっちは紫と申しんす。」

ゆかり…。

確か自分の部屋で金平糖食って、で…
プチパニック。

紫「主様は異国の方かえ？」

紫は微笑んで物珍しそうにこっちを見ている。

謙「い、異国っていうか…
何百年も先の未来から来た…？」

俺自体もわからないことだらけで疑問形になった。

紫「未来…？
それはすごいところから来んしたなぁ。」

あまりにもすんなりと受け入れる紫に
俺は拍子抜けして思わず笑みがこぼれた。

紫「主様、名は？」

謙「謙太郎。」

この不思議な出会いは哀しいものだと
俺はのちに思うんだった。