番外編 空に光を 2 ページ49
ここには、『エド』といういつも変なものばかり作っているお爺さんがいる。頭が良くて、何でも修理することができるから一部の子供たちに人気者だ。声が高くて早口。わかっているのはそれくらいで、彼にはとにかく謎が多い。
そんなエドと私、そしてシャルは、三ヶ月ほど前からある実験に熱をあげていた。
シャルナーク「A〜！こっちこっち！」
声がした方を見ると、座って作業しているエドの隣で、シャルがこっちに手をふっていた。
「どう？」
駆け寄って、エドの手の中を覗きこむ。両手で包めるサイズの丸い玉。そこには火薬と星が詰まっている。そう、私たちは花火を作っているのだ。そして今日の夜9時、それを打ち上げる。
エド「こっちの準備はあらかた整った、A、今日の天気はどうだ？」
「降水確率0%、夜はほぼ無風だよ」
シャルナーク「よしっ！！」
エド「よし、じゃあ今からこれをあの建物の屋上まで運ぶぞ！」
エドは300mくらい離れた場所にある廃墟を指差して、バタバタ動き始めた。こんなにたくさんの玉を全部運ぶのは一苦労だろう…しかしシャルの目は輝いている。
シャルナーク「A！早くしないと置いていくよ！」
既に両手いっぱいに花火の玉を抱えているシャルに急かされて、私も同じように抱えてその背中を追った。
＊＊
シャルナーク「暗くなってきたね」
エド「8時57分。そろそろだ」
エドは手首に着けた時計を見て呟いた。この場に緊張感が伝わる。
シャルナーク「A、こっち」
おいで、とシャルが手招きをする。火の粉で火傷をしないように、エドから少し離れたところに二人で座った。
エド「よし！！！いくぞ！！」
彼は興奮しきっていて、もう周りなんて見えてないって感じだ。大声でそう言った後、躊躇なく筒の中に花火の玉を投入した。
刹那、ヒュルルル、っと何かが空へと上っていって、ドンッ
鮮やかな光が、暗い空を照らす。辺りがパッと明るくなった。火の粉がパラパラ散る。こんなに綺麗なんだ、花火って。私とシャルは、初めて見た花火のすごさに圧倒されて、何も言えないまま次々と夜空に咲く花をただ見ていた。
エド「ヒャッッホーーーー！！！大成功だ！！！」
そんな中、奇声を発して踊り始めたエドに、二人して顔を見合わせ、吹き出す。
笑いが治まってから、シャルの顔を覗きこむと頬が自然にゆるんだ。
「ねぇシャル、楽しいねぇ」
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます！奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります！ (2017年8月21日 18時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2017年8月2日 12時
