行く、生きる ページ47
キルアは考えるように黙りこむ。一方私は彼の返答をにやにやしながら待つ。いや、本当はにやにやなんてしてないんだけど。
そして、答えは案外すぐに出た。
キルア「俺がどっちを選ぶかはその時の気分によって変わると思うんだよな〜
けど、Aが一緒に来いって言うならそっちの方に行く」
あぁ、嬉しいなぁ。でも私、君に一緒に来いなんて言えないと思うんだ。私が君と同じ年の君よりお気楽な男の子でないかぎりは。
「そっか、うん。私もキルアと一緒にいきたいと思うよ。そして、願わくば君と同じ年の君より少しお気楽な少年になりたい」
キルアから目を逸らして、天井を仰ぎ見る。そこには空は見えなかった。
キルア「何で？」
彼はどんな顔してるだろう。きっと、不機嫌そうにぶすっとしてるだろう。私が彼との間に今壁を作ったこと、バレただろうから。
「血が、欲しくなっちゃうでしょ。吸血鬼だもの」
“吸血鬼”なんて思いつきで喋ったデタラメなんだけど、案外私はそうなのかもしれない。
生きるために人を殺しているのだ。もう人を殺さなくたって息はできるのに。
キルア「Aは吸血鬼じゃない」
彼は、少し怒ったようにそう言った。その声が私には震えて聞こえたから、ギョッとして彼の方を見る。俯いていて、表情はわからない。
「どうしてそう思うの？証拠、見つけた？」
キルア「俺がそう思うから」
「ブッ」
決して根拠のないことを言わない彼の思いもよらない発言に、私は吹き出した。キルアは怒っているというのに。
キルア「何がおかしいんだよ！！」
声を殺して笑う私をキッと睨み、反抗を始めるキルア。
「違うんだキルア、嬉しくって」
私の顔を不機嫌そうに数秒見つめたあと、彼は勢いよくそっぽを向いた。
キルア「…で、どうなんだよ」
また表情がわからなくなった。でも、もう結果発表をしてしまおう。
「そうだね………キルアがそう思うなら、そうなんじゃない？」
キルア「何ｯｯだよそれ！？適当か！！」
さっきまで不機嫌そうにしてたのに、早くもこっちを見て驚いたような顔をした。彼も結構喜怒哀楽のある、普通の男の子なんだ。
キルア「でも、それなら俺の言うこと１つ聞いてもらうからな」
忘れてると思ったのに、覚えてたんだ。いや、この子は約束を忘れたりなんかしないか。
「いいよ。願うならキルアのほっぺにキスだってしてあげよう」
キルア「だっ！！だぁーーれがそんなこと頼むかよっ！！！！」
あはは、残念だ。
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます！奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります！ (2017年8月21日 18時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2017年8月2日 12時
