三次試験 まっさかさま ページ31
ビーンズ「ここはトリックタワーと呼ばれる塔のてっぺんです。ここが三次試験のスタート地点になります。さて、内容ですが試験官の伝言です。
“生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間”」
そんなふうな簡単な説明だけ済ませると、受験者を塔のてっぺんに置き去りにし、ハンター協会の飛行船は大きな音をたてて再び空に浮いた。それなりに大きい塔で、顔を仰ぐと空が大きく見える。見晴らしはそれほど悪くないが、見渡す限り何もない。おおむね隠し扉があるとかそんなところだろう。
『側面は窓ひとつないただの壁か』
『ここから降りるのは無理そうだな』
耳をすますと、そんな声まで聞こえてくる。
『普通の人間ならな』
そんな声まで………えー、と声を漏らしたいくらいだ。この外壁をつたって降りるつもり？一流のロッククライマーでもないかぎり流石に無茶だと思うけど。
『このくらいのとっかかりがあれば、一流のロッククライマーなら難なくクリアできるぜ』
えー…まさか本当に一流のロッククライマーなんて思わないじゃないか。
キルア「うわすげ〜」
ゴン「もうあんなに降りてる」
キルアとゴンは降りていった一流のロッククライマーを見下ろしている。ふと向こうの空を見てみると、何やら鳥のようなものがへんてこな鳴き声をあげて、こちらに近付いてきていた。
「不穏な気配を察知」
キルア「え？」
ゴンとキルアはパッと同時に顔を上げて、私の視線を追う。
ゴン「あっ」
ゴンが声をあげる間もなく、たちまち一流のロッククライマーは大きな翼をもつ悪魔に仕留められてしまった。彼、人間が飛べたら助かったかもしれない。
「さてと。制限時間もあるし、もたもたしてらんないね。さっさと他の方法を探そう！」
キルア「それもそうだなー」
キルアはスケボーを持ち直して、気だるそうに言う。彼はもうちょっと笑った方が可愛いと思う。ゴンは不思議そうな顔をして辺りを観察している。観察してる人を観察するのは、何だか変な感じがする。
ゴン「あ、あれ何だろう」
「なになに？」
ゴンの視線を追って、後ろを振り返ってみる。けれど、ゴンが見ているものを見る暇なく、ゆらりと地面が傾いた。
「え？ちょっと待って」
しかし誰も何も待ってくれず、１秒後にはビタン、とさっき立ってたのとは別の冷たい地面に頬を打ち付けられた。上の方でゴンとキルアの笑い声がかすかに聞こえた。
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます！奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります！ (2017年8月21日 18時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2017年8月2日 12時
