とけていく ページ26
気の効くシェフのご厚意で空腹が満たされるほどのパンを分けてもらい、腹ごしらえを終えた私達三人は、適当な話題で談笑しつつ飛行船の中を探索する。
ゴン「わーー！！キルア、A！こっちこっち！」
前を歩いていたゴンが突然走り出したと思えば、大きな窓の前で外の景色に目をキラキラさせていた。夜景だ。私とキルアもすぐに窓に駆け寄って、下の景色を見下ろす。
キルア「キレーだな」
ゴン「うん！！！」
「本当、綺麗だなぁ」
窓に手を付けて、ゆっくり流れていく夜景を眺めながら溢す。よく考えてみたら、この一つ一つの光のある場所に、人がいるんだよなぁ。
ゴン「ねぇ、Aって何処から来たの？」
「へっ？…あ〜……なんで？」
油断してる時にいきなり矢がとんできたように、不意をつかれた私はいつもの調子でおもしろおかしく、かつミステリアスに返事を返すことができなかった。それだけならまだしも、“なんで？”なんて、まるで素性を隠したいみたいじゃないか…あー、失敗した。でも、ゴンこそよりにもよって“何処から来たの？”なんて今聞くか…？
ゴン「いや〜なんとなく知りたいなーと思って」
私の内側など知るよしもないゴンは悪びれもせずいつもの柑橘類のような笑顔を浮かべる。その後ろでキルアは何も言わずにチラっとこっちを見た。ゴンはただ本当に知りたいだけなんだろう。キルアは、聞きたいけど自分からは聞けないからラッキーって感じかな。
「…そっかぁ〜〜〜〜あ〜〜…やっぱり吸血鬼だって信じてくれてない？」
ゴン「ううん、信じてないわけじゃないよ。でも吸血鬼にも故郷はあるものでしょ？」
「…そうだね」
視線を窓の外に戻すと、やっぱりそこにはさっき綺麗だと思った夜景が広がっていた。吸い込まれるような気がした。
「流星街っていうの」
私はただそれだけ、呟いた。
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ナツメ(プロフ) - 奈乃さん» ありがとうございます！奈乃さんからのお言葉を励みに頑張ります！ (2017年8月21日 18時) (
レス) id: 11619fb97c (このIDを非表示/違反報告)
奈乃(プロフ) - 更新楽しみにしてます。頑張ってください！ (2017年8月21日 18時) (レス) id: 26a98954d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナツメ | 作成日時：2017年8月2日 12時
