【安室透】私はブサイク専門【降谷零】

19-説教されました ページ19

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どうしてイケメンが嫌いなのか、と仕事終わりに送られている時に聞かれた。

私はそーねー、とつまらなさそうに飲みかけのボトルのキャップをきつく閉めた。

チカチカと歩道橋の電気が点滅しては赤く染まる。

ぼぅ、と眺めては走り出す車の振動で体が揺れた。

しっかりとハンドルを握りしめる安室にAはだるそうに背もたれにもたれ掛かった。



「イケメン浮気するし」

「へぇ」

「ブサイクはしない…」

「根拠は？」

「相手にされないでしょ？」



自分でも酷いことを言ってるのはわかってる。

けど大抵の人って顔で選んでない？

お金持ちでブイブイ高級車乗ってるブサイクより、貧乏で明日のご飯にもありつけるかわからないイケメンといる方が楽しだろう。

全員が全員そうじゃないのはわかってる、けど半分綺麗に意見は別れる？

別れないよね。

青と赤が好きって人が綺麗に五分五分に別れる？

別れないよね。

それと一緒だと思うんだけど。



「…」



一通り離すとAは黙った。

安室も黙ったままで沈黙が車内に続く。

もう少しで家に着くというのに2人は何も話さずただそれぞれ目に映る風景を見ていた。

ゆっくり停止した車に見慣れたマンション。

お疲れ様、とAが降りるとすぐさま窓が全開に開けられる。

さっさと帰ろうとAが鍵を指で振り回しながら安室の車から離れた。

しかしAの足はピタリと止まった。

そしてゆっくりと車の方へ振り向くと安室がこちらを真っ直ぐに見てもう一度言った。



「あなたのその考えは偏見そのものです、間違っていると僕は思います」

「あっそ」

「イケメンだろうと、ブサイクの人だろうと最低な人は最低ですし、いい人はいい人です」

「そっちこそなんの根拠で言ってんの？」

「見てきた数と僕です」

「はっ…」

「僕はあなたの考えそのものを覆すイケメンです」



鼻で笑ってからさっさと歩き出す。

真っ直ぐに射抜かれたその瞳がぶれない事を思って嘲笑う。

【宣戦布告】

二人の間にその言葉が幕を下ろす。

やってみろよ、というAの強い気が口に出さずとも安室に伝わる。

やってやるよ、と安室の強い思いが瞳の奥に静かに宿りAを貫く。









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「おやすみなさい…イケメン店員さん」

「ええ、おやすみなさい…可愛い店員さん」

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