ビターチョコ・シンドローム【赤】

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「……ん…？」

大「……そばに、おって…」

「……」



熱で苦しいのか、うるうるとした目を赤くさせて私の腕を掴む大毅。

こんな大毅を初めて見て、思わずドキリとした。

……だって、普段はあんなにアホばっかりしてて、甘えることを知らないですって対応なのに。



「……ご飯食べれる？」

大「…Aが作ったん？」

「うん」

大「……まじ…じゃ食う…」



大毅はぼーっとした様子で目の前のお盆に乗ったお粥を手に取る。

「熱そ…」と呟いた大毅を聞き逃さなかった。



「冷ましてあげよっか？」

大「…え？」

「……あ、いや。熱そうって言うから」

大「……」



じーっとしばらくお粥を見つめて、すぐに私の方を向いて



大「いや、そのまま食うわ」



と言ってスプーンを口に運んだ。

むぐむぐと食べる大毅はリスみたいなご飯の食べ方するよなあってずっと思ってた。

それがなんっか可愛いんだよなぁ。



「お粥とかよう食べれるなぁ」

大「ゴホッ…お前が作ったんやんけ」

「そうやけど、私味ない食べ物嫌いやもん」

大「なんやそれ」



ハハ、と笑う大毅。

相変わらず素敵なはにかみやけど、辛そうなのは隠せていない。



「これ食べたらすぐ寝るんやで、薬は？解熱剤とか」

大「……薬嫌いや」

「子どもみたいなこと言ってる場合ちゃうやん。
買ってこよか？」

大「いやマジで大丈夫、ありがとうな」

「……そう？」



はよ大毅には風邪治ってほしいんやけどなぁ。
授業一人ってばり寂しかったわ。

なんて大毅に言うと、頭をコツンと殴られた。

訳が分からず「え？」と大毅を見ると、



大「お前今日思わせぶりな態度とりすぎ…アホ…」



なんて言うから、自分の行動を思い出して顔を真っ赤にした。






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