22 ページ23
(伊沢視点)
清水さんと連絡がつかずにもう1ヶ月半も経ってしまった。
連日福良さんに愚痴を吐いては鬱陶しげに流され、川上に泣きついてはスルーされる。
そして、先日の河村さんの言葉が気がかり過ぎて、最近はぼーっとしがちだった。
今は夏休み、というのに夏期講習やらなにやらで大学に行かねばならず、更にQuizKnockの部屋は河村さんが使う、と言うので、帰り際に福良さんの家に寄って記事と動画の編集中だった。
「ちょっと、ここ酷い誤字あるよ。」
「……え、あ、うわ全然気がついてなかった!」
「全く、らしくないなぁ………、………そんなに清水さんのこと気になるなら、会いに行けばいいじゃん。」
福良さんが心底呆れたように見下ろしてくる。
「………だってさぁ、向こうから避けられてるんだぜ?会いに行けばって言われても………、なんの授業取ってるかも知らないし……。」
「はぁ……ていうかさ、前はあんなこと言ってたけど実際のところ清水さんのこと好きなんでしょ?」
「いや………うー……」
正直なところ、本当に分からないのだ。
今まで彼女がいたことはあれど、向こうから告白されて、断る理由もなくてOKし、そして振られてた。
そして、最近はQuizKnockや東大王を理由に断っていた。
そんなこんなで、まともな恋愛をした試しがない。
そもそも好きな人ができた覚えもない。
という話を福良さんにすると、軽く引かれてしまった。
「うわ………ガチじゃん…。そりゃ鈍感にもなるわ。」
「え、俺結構敏い方だと思ってたんだけど。」
「それ自分の気持ちも分からずに言うこと?」
「…ぐうの音も出ません。」
降参、といったふうに両手を上げると、苦笑と共に言葉が降ってくる。
「あのね、世間一般的に見て今の伊沢は充分、清水さんに恋してるように見えるよ。恋煩いってやつ?」
「まぁそれは、わかるけど…、実際のところ恋なのか、とかは……。」
「じゃあ例えばさ、河村さんが清水さんに告白して、OKを………ちょっと、そんな顔しないでよ、例え話だって。気づいてる?今酷い顔してるよ。」
横に置いてあるディスプレイに目をやると、光の反射でよく見えないが、確かに普段鏡で見る自分の顔とは似ても似つかないような表情が見えた。
「そんなに過剰反応しておいてそれが恋じゃないって言えるの?」
「………言えない、よなぁ。」
俺の顔が赤く染っていくのを見て、福良さんはカラカラと笑った。
171人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「QuizKnock」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴの - 伊沢さんが大好きで読み始めました。キュンキュンします!続き待ってます! (2018年11月30日 2時) (レス) id: a8459cfa7b (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - えたさん» ありがとうございます〜!!励みになります! (2018年11月24日 15時) (レス) id: b35afa0062 (このIDを非表示/違反報告)
えた(プロフ) - はじめまして〜!続きがすごく気になります…!更新頑張ってください!! (2018年11月24日 12時) (レス) id: 9d6349b3fd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海月@初心者 | 作成日時:2018年11月23日 16時