過去編2 ページ22
それからまたしばらくたって、10歳の時だっただろうか。メイドが言った。
メイド「A様。"海"に興味はおありですか?」
A「あるよ。それがどうかしたの?」
メイド「今夜、海に行きませんか?」
A「行きたい!!…でも良いの?僕はお外に出てはいけないのに。」
メイド「大丈夫ですよ。A様。私めがお父上様から許可を頂いていますので。」
とっても嬉しかった。いつぶりの外だろう。しかも僕は海には初めて行くんだ。あぁ楽しみだ!!これなら勉強が捗りそうだな!!
夜になると、メイドがやって来た。
メイド「さぁ。A様行きましょう。」
A「うん!!」
しばらく歩くと、海へとたどり着いていた。
A「凄いすごーい!!」
メイド「入ってみましょう。A様。」
そう言われ、少し戸惑った。怖いし、なんだか嫌な予感がしたけれどもそんなものより好奇心が勝った。
ザブン
海へと入る。
とっても冷たい。風邪引かないかなぁ。大丈夫なのだろうか。
メイドはその先へとどんどん入っていく。手を繋いでいるため僕も一緒に先へと進む。
あぁ。やばいかもしれない。もう足が届かないや。どうしよう。僕、海に入ったのが初めてだから泳ぐことなんてできないよ。メイドとの手も離れちゃった。どうしよう、どうしよう。
混乱していると、とあることに気がつく。
A「メイドが居ない。」
咄嗟に岸の方に視線をむける。
そこにはメイドの姿があった。その時僕は瞬時に理解した。
嵌められた_。
やばい、波でドンドン岸から遠ざけられる。あぁ。どうしよう。頭がパニックになって最善策が浮かばない。
そんな中でもどんどん岸から離れていく。
もがいてはいるがドンドン沈んでいく。
A「あぁ。おわった。」
そこからプツリと僕の意識は切れた。
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作者名:エビチリ | 作成日時:2023年2月17日 22時