声が出ない君へ－佐野玲於－ (ページ41)

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玲於「いやー、無事に就職が決まって良かった」

貴女「うんうん」

玲於「永久さんからもおめでとって連絡きたし」

貴女「また律くんと一緒だね、玲於くん」

玲於「どこまででも着いてくるからな、あいつ」

貴女「私も玲於くんと一緒が良かったあ」

玲於「いいじゃん、近場でしょ？」

貴女「そうだけど…」

あ、ちょっとしゅんってなった

玲於「あ、そうだ」

貴女「なに？」

玲於「見てこれ」

貴女「これって、私が使ってたメモ帳？」

玲於「そ。懐かしいよな」

貴女「ほんとだねー、いろいろ書いてある」

玲於「これ、俺らがケンカした時の」

貴女「あの時の、あれか」

玲於「ケンカの理由なんだっけ？」

貴女「忘れた！」

玲於「大したことじゃなかったんだろうな」

貴女「たぶんね！」

玲於「ちょっと貸して。書くから」

貴女「何を？」

就職が決まったら絶対言おうと思ってたことがある

それをメモ帳に書いた

玲於「はい」

貴女「……え」

玲於「…なんか言えよ」

俺が書いた言葉は

“結婚しよ”

玲於「手出して」

貴女「……」

玲於「まだすぐってわけじゃないけど、これから先お前以外と一緒になる気はないし、ずっとAといたいから」

Aの左手を持ったまま、気持ちを伝えた

何も、言わねーじゃん

玲於「Aちゃーん？」

貴女「いきなりすぎて頭追いつかない」

玲於「A、愛してるよ」

貴女「う、わ」

玲於「結婚してください」

貴女「はい…」

玲於「良かった…」

薬指に指輪をはめた

貴女「いつのまに…」

玲於「頑張った」

貴女「綺麗だね」

玲於「でしょ？」

貴女「幸せすぎて死にそう」

玲於「それは困る。これからもっと幸せになるんだから」

貴女「言ってて恥ずかしくない？」

玲於「うるせぇ」

貴女「ありがとう、玲於！」

玲於「急に呼び捨て」

貴女「大好き！」

玲於「ん、俺も」