声が出ない君へ－佐野玲於－ (ページ29)

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貴女「お風呂、ありがとう」

玲於「うん。…ね、どうしてあんなとこにいたの？」

貴女「玲於くんが、近づかないでって言ったから…」

玲於「あれは…」

貴女「ショックで頭冷やそうと思って外に出たら雨降ってきて、ぼーっと歩いてたら気づいたら玲於くんが来た」

玲於「告白したの忘れてって言った理由なんだけど」

貴女「うん」

玲於「永久さんは怪我酷くなくて、そんな大事にならなかったじゃん。でも、永久さんが、事故ってAの声がまた出なくなって」

貴女「うん」

玲於「やっぱりAの中の1番大切な人は永久さんなんだって思い知らされたって言うか」

貴女「私は…っ」

玲於「最後まで聞いて欲しい。距離を置けば俺がAのことを、好きじゃなくなるって思った」

バカだったな、俺

玲於「でも、無理だった。好きなもんは好きなんだもんな」

貴女「玲於…くん」

玲於「ｸｼｭﾝｯ…近づかないでって言ったのは風邪うつしたくなかったから、ごめんね、変な言い方して」

貴女「勝手に勘違いした私が悪い！」

玲於「A。俺、Aのこと好き」

貴女「…私も、好きです。永久くんもすごく大事な人だけど、好きなのは玲於くんだけだよ」

玲於「ありがとう」

ぎゅっと思いきり抱きしめた

貴女「…ぅ、ｸﾞｽｯ」

玲於「なんで泣くの」

貴女「だっ…てぇ」

Aの顔を上げ、涙を拭った

ちゅっ

貴女「へ…っ」

玲於「あ、ごめん。つい」

貴女「ついでキス…するものなの？」

玲於「可愛かったからした！悪い？！」

貴女「わ、悪くない！」

Aのせいで絶対熱上がってるよ

玲於「俺も風呂入ってくるね」

貴女「う、うん」

はぁ、好きな子が家にいるって

俺の理性試されてんのか

ただでさえ、熱あってギリギリなのに

風呂から上がると

貴女「あ、玲於くん！」

ぎゅーっと抱きついてきた

玲於「な、なに？」

貴女「なんとなく」

玲於「なんとなく…って」

貴女「かっこよかったから抱き着いた！悪い？！」

玲於「意外に意地悪な、A」

貴女「…好き」

玲於「どうしたの」

貴女「声に出せるってこんなにいいことなんだね」

玲於「…分かってやってる？」

貴女「え？」