・ ページ48
＊
サー・ナイトアイの話を聞き、一度会っただけの人達の事をそこまで理解している光弥の凄さに、ファットガムとリューキュウは息を飲んだ。
サー・ナイトアイは掛けている眼鏡のブリッジを中指で上げて言った。
「この事を世間に言えば、彼は素晴らしい策士だと言われるだろう。そして、たくさんのヒーロー事務所が喉から手が出る程に、彼を欲しがるだろう」
「確かに…そうやな」
「私も普通に彼をスカウトしたいぐらいだからね」
「私自身も、このまま彼をサイドキックとして迎え入れる事は考えた。だがきっと、私では彼を制御出来ない。いや、今この世にいる人の中で、彼を制御出来る者はいないと、私は思う」
"もし、迎え入れたとしたら、私の方が制御されてしまうだろう"
サー・ナイトアイは光弥の手のひらで踊らされているように錯覚する。
そして口には出さなかったが、光弥に対してもう一つ恐れている事がある。
それは……──
──心の底が見えない
ということだ。
誰しも少しぐらいは本心を出している。
だが、光弥にはそれが感じられない。
本心を隠すのが上手いのだろう。
でも、だからこそ、本心の見えない人物ほど怖いものは無いと思った。
そして全ての仕事を終え、事務所から出た所で声を掛けられた。
声を掛けて来たその人物は、光弥であった。
「こんな時間にこんな所で何をしている？子供はもう家に帰っている時間だろ」
「いやぁすみません。貴方に一つ、言い忘れていた事がありまして…」
「…何だ？」
「貴方が個性を使う人についてです」
サー・ナイトアイの目付きが変わる。
それを見て、光弥はニシッと笑い、言った。
「俺的にはファットガムか、緑谷達雄英生が良いと思いますよ」
「…それには貴様自身も含まれているのか？」
「いいえ。俺は含まれてません。そもそも俺を視たら個性の無駄遣いですよ」
光弥はにこやかに笑い、サー・ナイトアイは黙る。
やはり光弥の本心は見えない。何を考えているのか、さっぱり分からない。
そして光弥は続ける。
「あぁ、それか、貴方自身…とかね」
「私、自身…？」
「たまには人に使わず、自分を視たってバチは当たりませんよ。それは、貴方の個性なんですから」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1552人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ARy - 好き (5月3日 15時) (
レス) @page37 id: 20866609ad (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2021年12月25日 22時) (レス) @page38 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
あーりん - 私もこの作品にはまって一気読みしちゃいました！文を書くのがとても上手で読んでいてわくわくします！！更新頑張ってくださいd=(^o^)=b (2021年12月23日 18時) (レス) @page37 id: 86690bee99 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます！これからも頑張ります！ (2021年12月14日 20時) (レス) @page31 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
紫霊 - 一気に読みました!!!とても素敵なお話ですね。これからも頑張ってください(*^^*)光弥くんがヴィラン側に堕ちるのかヒーロー側に留まる(?)のかこれからの展開が楽しみです！！！ (2021年12月11日 18時) (レス) @page30 id: 84d5eb71dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナツ | 作成日時：2021年9月9日 18時
