・ ページ17
*
『先日のヴィラン轢き逃げ事件に関して、男の子を庇って亡くなった男子中学生の事をどう思いますか?』
光弥がいる道路の向かいのビルに設置されているモニターで永杜が死んだ事件のニュースが流れる。
それは嫌でも光弥の耳に入る。
『とても勇敢だったと私は思います。人を庇うというのは勇気のいる行動ですから。彼のような子がヒーローになってほしかったですね。とても悲しいです』
『えぇ、そうですね。このような事件を二度と起こさない為にも、日々、気を付けていかなければなりませんね。では、次のニュースです──』
光弥の表情がさっきよりも一層悪くなる。
"何が勇敢だよ…何がヒーローだよ……アイツのこと何も知らねぇくせに適当に語ってんじゃねぇよ!悲しいとか、思ってもねぇこと言ってんじゃねぇよ!上っ面な言葉ばっか並べんな!反吐が出る!二度と起こさないじゃねぇんだよ。人生に二度は無ぇんだよ!!お前らみてぇな奴らがいるから人が死ぬんだ!社会が悪くなるんだよ!お前らがッ…お前らがッ…!"
『そんでそいつは男の子を庇って轢かれたらしいんだ』
『え、マジか。何か凄ぇ。俺絶対無理だわ』
『その中学生は死んじゃったらしいよ』
『え?そうなの?可哀想〜』
『生きてたら人気者なのに』
学校でのクラスメイトの会話が光弥の頭を巡る。
"ア"ァッ!うるさいうるさい!"
光弥は手で両耳を塞ぐ。
『男の子庇うとか、マジヒーローみてぇじゃね?』
『確かに!やっぱそーいう誰かを庇う奴ってめっちゃカッコいいよな』
『とても勇敢だったと私は思います』
『二度と起こさない為にも』
『とても悲しいです』
ニュースの会話までもが光弥の頭の中を駆け巡る。
"嫌だ…聞きたくない……何も聞きたくないんだ…頼むからやめてくれ…黙ってくれ……"
光弥のその願いは届かず、クラスメイト達の声がずっと頭の中を駆け巡る。
『ヒーローみてぇ』
『ヒーローってカッケェよな』
『ヒーローになってほしかったです』
ヒーロー……ヒーロー……ヒーロー……hi──
「ッ!…黙れっつってんだよ!!!!!」
__プツンッ
その瞬間、光弥の周りから音が消えた。
・
1553人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ARy - 好き (5月3日 15時) (レス) @page37 id: 20866609ad (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2021年12月25日 22時) (レス) @page38 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
あーりん - 私もこの作品にはまって一気読みしちゃいました!文を書くのがとても上手で読んでいてわくわくします!!更新頑張ってくださいd=(^o^)=b (2021年12月23日 18時) (レス) @page37 id: 86690bee99 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2021年12月14日 20時) (レス) @page31 id: 5b941b1f0d (このIDを非表示/違反報告)
紫霊 - 一気に読みました!!!とても素敵なお話ですね。これからも頑張ってください(*^^*)光弥くんがヴィラン側に堕ちるのかヒーロー側に留まる(?)のかこれからの展開が楽しみです!!! (2021年12月11日 18時) (レス) @page30 id: 84d5eb71dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ナツ | 作成日時:2021年9月9日 18時