ONE-WAY LOVEs

★ ページ16

「なんか最近、避けられてるなーと思って。
‥色々考えてみたけどごめん、理由が分からないんだ。俺、なんかしちゃった？」

あくまで明るく。
内容が内容だけに、あまり深刻にならないトーンで。
話をしながら伺うように伊野尾ちゃんを見つめるけれど、当の伊野尾ちゃんは視線を伏せたままこちらを見ようとはしない。

「避けてなんかないよ。」

「いや、それは流石に。そんな嘘、逆に傷つくんだけど。」

「‥‥‥。」

「俺、勝手だけど伊野尾ちゃんとはこれからもずっと仲良くしたいんだ。
嫌な所があるんなら直すから言って欲しい。」

素直な気持ちでそう言うと、伊野尾ちゃんは顔を伏せたまま、少し悲しげに笑って首を振った。

「‥ないよ、そんなとこ。」

「だからそんな嘘吐かなくていいって。なんでも言ってよ。あ、でもオブラートに包んでくれると有難いけど。」

「だから無いって。山田は良い奴だよ、大丈夫。
ごめん、そろそろ帰ってもらっていいかな。」

そう言って、ドアノブに伸ばし掛けた白くて華奢な腕を思わず掴む。
まだ何も本当の事を聞いてないし、解決してないのにこのまま帰るなんて出来ないから。

振りほどこうとする伊野尾ちゃんの腕を逃がさないよう握った手に力を込める。
相変わらず伏せたままの顔を下から覗き込むと、逸らされた目にうっすらと涙の幕が張っているのが分かってそんなに嫌かとショックを受けた。

「時間無いのにごめん、でも理由が知りたい。
何で急に避けられたのか、何でこんなに嫌われてるのか、」

「だから嫌ってないって‥」

「じゃあ何で！今だって目も合わせてくれない
だろ！」

煮え切らない伊野尾ちゃんの態度にカッとなってつい声を張り上げてしまい、そんな自分がかっこ悪くて嫌になる。

「ねぇ、伊野尾ちゃん。」

こっち向いてよ。そう懇願するように名前を呼ぶと俺の気持ちが通じたのか真っ直ぐに視線を向けてくれたけれど、その目には怒りが見えて少したじろいだ。


「‥‥って言っても？」

「ん？」

「好きって言っても、まだおれと一緒にいたい？」



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