検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:48,415 hit

荒野を駆け抜けて ページ15

Aの母side

もっとAと過ごしたかったけど、サヤにも会いたい。

私は死ぬまでにあまり時間がないの…

一人置いてきぼりにしてごめんねA。

死ぬ前にもう一度会えて良かった。

私は思い通りに動いてくれない足を必死に動かしながら、サヤのいる村へと向かう。


そんな足を押してくれるようにヒンヤリと風が吹く。


足をゆっくり進めていくと、大きく広がる荒野に辿り着いた。

…ここで少し休もうかしら。足も疲れたし。

私は切り倒された木の上にそっと腰掛けた。

出来るだけ足を伸ばし、楽な姿勢で広い広い荒野を眺めてみた。

…私、ちゃんと人生やっていけてたのかな…?

ふと気になった。

そりゃ、家族もいて、離れ離れでも小さな幸せを感じて、良い人生だったとは思う。

でもそれは、私の前で流れている映像のようなものに過ぎなくて、私が作り上げたものではない。

…私は、今まで関わってきた人達にとってどんな存在であったのだろう。

娘のAが言ってくれたように、私は強かったのだろうか…?

わからないけど、Aがそう言ってくれたなら、そんな気がする。

広い空を背筋を伸ばして仰ぐ。

母「…曇り空…か…」

雨が降りそうだな…

もう出発しなきゃ、今の私の歩くペースじゃ遅すぎるから。

私はゆっくり立ってゆっくり足を進めた。

ゆっくり歩いていくと徐々に、荒野が気になっていった。

ああ、思いっきりあそこを駆けてみたいな。

…いやいや、冗談よ。無理な話だとはわかってるから…。

しっかり前を向いて歩き出すと、鼻のてっぺんに何かが乗った気がした。

ふと上を向いてみると、パラパラと雨が降り始めていた。

徐々に雨が強くなっていく。

母「…こんな大雨、久し振り…。」

私が零した独り言を雨音がかき消す。


母「昔を思い出すなあ…」


誰もいない雨の世界の中、一人微笑んでみた。

雨の声→←この上なく



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (83 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
設定タグ:鬼灯の冷徹 , 鬼灯 ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- 絵上手いですね! 書き方教えてほしいです、、、、。私、好きな人がいます。告るか悩んでて、、、。どうしたらいいですか? (2020年10月20日 11時) (レス) id: bcdcf4ec06 (このIDを非表示/違反報告)
- 謎の沈黙ターイム(バリトン)wwこれ、気に入りましたww (2020年10月20日 11時) (レス) id: bcdcf4ec06 (このIDを非表示/違反報告)
雛紗(プロフ) - もんじゃさん» コメントありがとうございます!え!本当ですか!?嬉しいです^^ありがとうございます! (2018年6月15日 19時) (レス) id: db311f7197 (このIDを非表示/違反報告)
もんじゃ(プロフ) - 絵めっちゃ上手ですね!! (2018年6月15日 17時) (レス) id: 84ebad2ff3 (このIDを非表示/違反報告)
メグル - 雛紗さん» 承知っすw (2018年6月13日 22時) (レス) id: 5915396e2f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雛紗 | 作成日時:2018年4月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。