検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:159,629 hit

1日後 ページ36

それはまた突然のことだった。
知り合いから送られてきたメールには『Aが亡くなったらしい』と一言だけ。

この前久しぶりに出会ったばかりだからか、すぐには信じられずに思考も停止してしまう。

しかし現実とは厳しいもので、その場に行けば嫌でもわかってしまうのだ。
彼女の姿はもうなかった。

彼女の顔が、声が、思い出が、消えていくように感じて怖かった。
忘れたくない、消えないで、と祈るだけで。

「…あら、__くん?」

聞き覚えのある声に振り向けば、懐かしさが一気に押し寄せてきた。

「…Aさんのお母さん…ですよね」
「覚えててもらえてよかった。Aさんなんてかしこまった呼び方しなくていいわよ」

そう笑顔を無理矢理つくる姿に心が痛んだ。

「まさか次会うのがこんな形だとは思わなかったわね」
「…本当に」
「__くんは生きてね。Aの分まで」

そう言って我慢してたのであろう涙を零し始めた。
勿論です、と聞こえるか聞こえないかくらいの声で言えばお願いね、と泣きながら彼女は微笑むのであった。

「Aに素敵な時間をくれてありがとうね。きっとあの子も幸せだったわ」
「こちらこそありがとうございました。僕も、幸せでした」

ああ、本当に幸せだったよ。
大好きだった、愛していた。
あの時彼女を手放さなかったらこんなことにはならなかったんだろうか、と少し後悔をした。

「……嗚呼、どんな声だったっけな」

さっきまで覚えていたはずなのに。
君の声に、顔に、思い出に、靄がかかったように見えなくなる。

『___________』

君はあの時なんて行ったんだっけ。

「…A、目ぇ覚ましてや」

僕から消えていまう前に。

2日後→←×××



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (315 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
534人がお気に入り
設定タグ:実況者 , wrwrd
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

若草 翠 - 素晴らしい作品でした。主人公の感情が痛いくらいに伝わってくる文章の書き方で、スッキリとした終わり方が印象に残っています。これからも頑張ってください! (2022年4月6日 21時) (レス) id: 3991d49295 (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - 神野里彩さん» はじめまして。ご丁寧にありがとうございます。そう言っていただけると私も書いてよかったです…!少しでも心に残る作品になってくだされば私も嬉しいです…!こちらこそ改めて読んでいただきありがとうございます。 (2019年7月29日 2時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
神野里彩 - 初めまして。こんにちは。貴方の作品がオススメに出てきたので読んでみました。普段あまり感動する映画とかで泣かないのですが、最後まで一通り読み終わったら涙が止まりませんでした。芽樹さんとても素晴らしい作品を読ませて頂ありがとうございました。 (2019年7月28日 15時) (レス) id: 1e17a0cebe (このIDを非表示/違反報告)
芽樹。(プロフ) - フラルさん» そう言っていただけて嬉しいです!お読みいただきありがとうございました! (2019年7月12日 8時) (レス) id: 4dfb0739ae (このIDを非表示/違反報告)
フラル(プロフ) - 評価が1回しか出来ないのが悔しくなるほどとても素晴らしい作品でした!!!どのエンドも感動しました! (2019年7月11日 0時) (レス) id: 8607e8bac4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:芽樹。 | 作成日時:2019年1月7日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。